リネンのすすめ

リネンのすすめ

銀座3rd店ブログをご覧の皆様、こんにちは。

夜はまだ肌寒いですが、日中はかなり気温も暖かくなってまいりました。

 

お客様のご注文もスーツだけではなく夏を意識したジャケットやシャツのご要望が増えております。

そんな中で、私も冬終わりにオーダーしていたリネンのスーツが出来上がって参りましたのでご紹介致します。

選んだ生地はCaccioppoi社Irish Linenから380gという夏物素材としては非常にヘビーウェイトなリネンを選びました。

Caccioppoli -Irish Linen-

オーダーダブルブレステッドスーツ価格 ¥125,000+税~

生地品番 330507 Linen100%/380g

 

仕上がりすぐに着用してみて感じたのは、”とても麻とは思えないほどにパリっとしているな”という印象でした。重厚感のある、とても硬い生地で最初の何回かは若干の着辛さも感じました。

次第に体になじみ、柔らかくなります。はじめは鎧のようにビシッとしているジャケットも、徐々に体の動きを覚え体型に合ったシワが刻まれていきます。日本では”シワ”は悪しきものとして捉えられがちですが、着るたびに体に沿ったシワが入り柔らかく風合いの増していくリネン素材はご自身で着て育てるイメージで楽しんで頂けるのではないでしょうか。

 

オーダーした後でたまたま古本屋でリネンに関する面白い書籍を見つけて購入してみました。日本ではざっくり麻と呼ばれますが、海外ではリネン、ラミー、ヘンプなど麻に対して様々な名称があります。その中でもリネンと呼ばれるのは亜麻(フラックス)の繊維質から取り出された非常に堅牢で細い繊維の肌触りの良いものなのです。

この画像はフラックスと呼ばれる植物です。このフラックスを水に長時間漬け込み、茎を腐らせて残った繊維がリネンの元になります。バンチブックに冠する名前としても知られるように、アイリッシュリネンは元々はアイルランドで紡がれていたリネンでした。現在のベルギー北部、フランダース地方は高品質なフランダースリネンの産地として有名ですが、新教徒に追われた大量の技術者がアイルランドに行き着いたのがきっかけのようです。

 

亜麻から取り出されたばかりの繊維は生成りがかっています。古くからヨーロッパでは日用品として用いられていますが、中でも大変喜ばれたのは漂白された真っ白なリネンなのです。手間のかかる工程を経た真っ白なリネンは高級品とされ、嫁入り道具としてベッドリネンやテーブルクロス、下着など一式揃えていく地域などもあったのだとか。日本で麻というと涼しいが着用感にやや難のあるカジュアルな素材として認識されていると思います。既製品のカジュアルシャツでよくあるチクチク感はたいていコストを下げるために太くて硬い繊維を持つラミーを使った麻である場合が多いです。素材を正しく知り、選べば目的にあったお買い物ができそうですね。

英国のカントリー服地の名門W.BillでもIrish Linenのご用意があります。飾りっ気のない、武骨なまでの生地ばかり取り揃えてあります。レオナルド・ディカプリオ扮するジェイ・ギャツビーを狙った白リネンはいかがでしょうか。

イタリアのCaccioppoliからはバンチをもう一つ。Canvas Linenという、文字通りキャンバス地のように目の甘い織りのリネンです。こちらはジャケット向きでしょうか。英国ものと比べ、イタリアのリネンはなぜかブルーがとても鮮やかに見えます。地中海で見られる海の青さをイメージしているのかな、と個人的には感じます。

いかがでしょうか?

服を仕立てる以上に、その背景にある素材やコーディネートのドラマに思いを馳せながら生地を選んでみる。そんなオーダーの楽しみ方もあるのではないでしょうか。是非、初めてのリネン素材でオーダーをご検討の場合は気軽に私までご相談ください。ぴったりの一着を一緒に考えましょう。

宮阪



※銀座3rd店へのアクセス※

現在、近隣ビルの工事により銀座3rd店の入り口が大変分かりづらい状況となっております。

目印は銀座澤井珈琲さんの横にある黄色い掲示板です。

この通路をまっすぐ入って頂くと、奥にエレベーターがございますので、4階に上がって頂くと麻布テーラー銀座3rd店がございます。

合わせて読みたい記事

襟型を選ぶポイント -クラシック-

注目のブレザーをボタンでカスタマイズ

TIMELESS COAT COLLECTION