パターンオーダーシャツフェアを考える。

麻布テーラー全店で「パターンオーダーシャツフェア」が好評開催中です。昨年末の「HQブログランキキング ベスト5」で第2位に個人的に選びましたが、昨シーズンは18日間という短い開催期間で過去最高の16,330枚のご注文をいただきました。これは、我々の業界内、いや業界外でもギネスブック級の驚きの量だと思います。

近年は、麻布テーラーのオーダーシャツフェアと同じような、シャツ生地を丸めて2枚同時にセール販売するスタイルも他店でかなり出ているようですが、その中でも麻布テーラーがギネスブック級のご注文をいただけ続けているのには、何か理由があるのかも知れません。

何を隠そうこのようなスタイルのオーダーシャツフェアは、麻布テーラーが元祖なのです。麻布テーラーが誕生した1999年に当時の梅田店の店長が、シャツ工場閑散期に工場残生地を利用して、シャツ生地を棒状に丸めて宝探し感覚で選んでもらうオーダーシャツセールを企画しました。当時から麻布テーラーを担当しているシャツ工場の営業さんから聞きました。私が麻布テーラーに携わった2002年には、もうこのオーダーシャツフェアのスタイルが確立されていましたが、当時は2Pフェアというタイトルでした。その影響もあり、社内ではいまだオーダーシャツフェアのことを2Pフェアと呼んでいるスタッフが多いのです。

このように、大先輩が築いてくれた企画を我々が引き継ぎ、少しずつ進化をさせながらこのようなギネスブック級のご注文をいただけるまでに成長しました。

進化1「シャツ生地のクオリティが高い」

古くはシーズン切り替え時期に、在庫の多い工場在庫の生地をカットしていましたが、現在はこのフェア限定に特別な生地を手配しています。フェア限定生地は、国産の綿100%であることはもちろんのこと、細番手の糸を2本で織り上げた双糸使いや、高番手単糸のコンパクトヤーン(コンパクトスピニングという紡績技術により生み出された糸の総称で、毛羽が少なく、シルクのような光沢や滑らかさがでるとされる。)をメインにしています。店舗によって品揃えは異なりますが、中には100番手双糸や120番手双糸などのお宝も混ざっていることもあります。もちろん通常コレクションとして入っていた工場在庫の生地も少しは入っていますが、現在はこのフェア用に私が国内のドレスシャツ生地の産地まで入り、生地を確保しております。麻布テーラーでの通常コレクションに入れるとすれば¥9,800~¥12,000+税のクオリティランクになります。

進化2「トレンドを抑えた生地が多い」

私が国内のドレスシャツ生地産地に直接出向き、反物が保管されている倉庫で汗と埃まみれになってお宝を探します。妥協はせずに、気に入った生地しか買いません。ちなみに、今回は男の基本「ブルーとホワイト」を充実させています。

進化3 【仕立てやデザイン選択も通常のオーダーシャツと同じ】

前述のように生地クオリティからするとお買い得なプライスですが、セール用の仕立てやデザインではありません。通常のオーダーシャツと同様にボタンは28種類、襟型は43種類、カフ型13種類など、デザインのバリーションの豊富さは勿論のこと、フィット感の異なる5つの基本ボディスタイルを使いながら、お客様がイメージされるシャツに限りなくフィットさせるパターンオーダーになります。このように生地も仕立ても妥協無く、デザインもサイズも自分仕様、しかもお買い得プライスといった点が人気の秘密です。ちなみに、麻布テーラーの協力シャツ工場と同じ工場を使用して、同様のフェアと同様の価格で展開している他テーラーさんもあるようですが、基本の縫製グレードは麻布テーラーのオリジナルなので、かなりの価値があると思います。

最後に、このイベント期間は、非常に沢山のお客様にご来店いただくので、店舗スタッフが全てのお客様に初めからご対応することが難しい場合があります。以下のようなご説明パネルを全店に配置しております。この手順に沿っていただくと、比較的スムーズにご注文いただけます。また、お客様の採寸データーは大切の保管しておりますので、2回目のお客様は前寸を参考にさせていただくのでお時間は比較的かかりません。初めてのお客様は、担当のスタッフがご案内をしてから、採寸を含めるので少し時間をいただくことになります。

繊維の原料高騰による生産コストの上昇により、今回より1枚あたり500円の値上げ、2枚で16,000円+税という新プライスにさせていただくことになりました。しかし、単なる値上げではなく、今まで以上に高クオリティの生地を取り揃えております。

大先輩が築いてくれた企画を守り、お客様に喜んでいただけるように、さらに進化をさせることは大変です(笑)。

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