スーツの名脇役。

先週末は休日返上で宮崎県の延岡市に出張に行っていました。数年ぶりにプロペラ機に乗りましたが、プロペラ機特有の音がどうも好きになれません(苦笑)。

なぜ、土日まで利用して延岡まで??それは、麻布テーラーが扱うスーツやジャケット、スラックス、フォーマルウェアで最も多く使用されるキュプラ裏地の生産現場への視察のためです。

本題に入る前に、まずは基本のき、裏地って何?いうところからお話しします。近年は仕立ての軽量化の流れで、総裏地一辺倒から背抜きや大見返しなど、裏地が見える箇所が少なくなってきました。では裏地は不要なの?と思う方もいらっしゃると思いますが、実はとても重要な役割を果たしています。

機能面では、皮脂や汗からの表地の汚れを防ぐこと、着脱時のすべりをよくして表地のダメージも防ぐこと、薄い表地の場合の透過を防ぐこと、裏地の種類によっては湿気を吸放出するなど。ファション面では、表地と裏地のコントラストによる見た目のお洒落さなどが挙げられます。

目に見える上着の裏側だけではなく、袖裏やポケット裏、スラックスの膝裏、ベストの裏地など意外と気づかない箇所でも使用されているので、特に機能面での重要度は高いものです。

そして、裏地といっても素材によって特徴があります。我々が使用するメンズクロージングウェアでの主流は、ポリエステルとキュプラの2種類になります。

ポリエステルは石油を原料とする合成繊維です。比較的安価でありながら、耐久性に優れて発色が良いのが特徴です。水には強いですが、吸湿性が劣るので夏場や汗を大量にかく人は注意が必要です。しかし、一概にポリエステルといっても日々進化しているので決して悪いとはいいきれません。

次に本題のキュプラになります。キュプラといえばベンベルグ、ベンベルグといえば旭化成せんい、旭化成せんいといえば延岡工場となる訳です(笑)。

麻布テーラーでキュプラ裏地といえば、ご存知ベンベルグの「AK1800」です。

原料はコットン、そのコットンの種の周りに生えているうぶ毛のなかの不純物を取り除き、ピュアな植物繊維素にして、糸に生まれ変わらせます。自然の植物を原料としながら、人間の技術力を加えることで生まれた繊維です。

特性は、ふれた時に感じる、表面のすべすべとしたなめらかさ。すべりが良いから体の動きがスムーズです。そして、べたつきやムレを抑えることができます。人は一日過ごすだけで、およそ600cc(コップ約4杯分)の水分をカラダから放出します。深呼吸をする繊維は湿気をすばやく吸いとり、空気中へとはきだします。また、衣服の中を快適な温度に調整して、夏はひんやりと冬は暖かく、静電気まで抑えることができる年中活躍する万能裏地です。

このようなベンベルグ裏地の生産現場をみながら勉強をしてきた訳ですが、昼→夜→夜中と延岡名物も勉強してきたのは言うまでもありません(笑)。

合わせて読みたい記事

ダブルブッキング!!その1

今度のマイクローゼット編はポロシャツか(笑)。

ネクタイ1本にかけるこだわり。