仕立て屋で仕立てるシャツ~Ⅲ~

仕立て屋で仕立てるシャツ~Ⅲ~

本日もご覧いただきありがとうございます。

では本日は先日ご紹介させて頂いたシャツのオーダーの流れについて、

1.生地を選ぶ
2.デザインを選ぶ
3.採寸をさせて頂く

のうち、「3.採寸をさせて頂く」についてご紹介させて頂きます。

麻布テーラーではパターンオーダーシャツを承っておりますので、サイズ調整が出来る箇所が何箇所か決まっております。


img_4300
カフスまわり
img_4301
胸まわり
img_4298
腹まわり
img_4299
手の長さ
img_4302

img_4303

それぞれの箇所でお客様のご体型に合わせたサイズのご提案をさせていただきます。

既製品をご購入いただく際の、腕の長さが足りない…首だけが少しきつい…腹まわりはもっとすっきりとさせておきたい…
などサイズに関する悩みはぜひスタッフにご相談ください。

またサイズのあったシャツはスーツにも相乗効果を生みます。
首元にきちんと収まったネクタイや、袖口からのぞくわずかなシャツはご自身の清潔感を強調します。

相乗効果といえばこちらも精神的な相乗効果といえるのではないでしょうか。

小説 「ハゲタカ」シリーズの著者として知られる真山仁先生が、麻布テーラーのためにショートストーリー書いてくださいました。
少しでも多くの方にご覧いただきたいと思いましたので、ご紹介させて頂きます。

—————————————————————————————————————

code number:SF31200

デキる奴はそこにこだわる                  真山 仁

どうしても勝てない先輩(ヤツ)がいる。

どれだけ努力しても、新しい技を覚えても勝てない。才能の差と言われてしまえば

それまでだが、その分俺は、努力してきた。なのに先輩は努力の片鱗も見せず、

いつも軽々とハードルを越えて、ディールを成就する。先輩と俺で何が違うのか……。

バーで二人っきりになった夜更け、俺は酔ったふりをして、先輩に疑問をぶつけた。

「オーダーメイドのワイシャツだよ」意味不明だった。

だが、それ以上何を聞いても笑ってはぐらかされた。挙げ句に俺は酔いつぶれ、

先輩の家に転がり込んでしまう始末。

翌朝、激しい頭痛と吐き気を覚えて目覚めた時、先輩はシャワーを浴びていた。

惨めに唸っている時、昨夜の言葉を思い出した。

オーダーメイドのシャツ――。

俺はベッドから這い上がり、

先輩のクローゼットを覗いた。

どれも俺が着ているシャツと変わらない。

首元のタグに目がいった。

いずれもが、同じ店の名だ。

「ただ、オーダーメイドのシャツをつくっても無意味だぞ。

シャツは俺らの戦闘服なんだ。機能性、肌触り、そしておまえのガッツが

表出する輝きを放つシャツを探すことだ」

シャワーを浴びた先輩が立っていた。

オーダーメイドでワイシャツを作る男なんて、単なる成金趣味だと思っていた。

それでも俺は、半信半疑で先輩が常連らしい店を覗いてみた。

先輩から紹介してもらったと告げると、「じゃあ、生地選びから致しましょう」と

店員が言った。先輩は、そこにいつもこだわっていると教えてくれた。

「十種類以上は試されましたよ。闘争心が湧くような着心地が欲しいとおっしゃって」

ずらりと並べられた生地を見て、今まで知らない世界がそこに広がっていた。

実際に手で触れ、肌に当ててみると、同じに見えた生地でもそれぞれ違う。

自分に合う風合い、見栄えがよく見える光沢、いろんな個性がシャツに対する

俺の固定観念を破った。試しに一着作ってみた。

生地だけでなく、襟、袖、ボタン、そして寸法を測ってもらったできたてのシャツに

腕を通した瞬間、背筋が伸びた。忘れていた初心が湧き上がってきた。

たかがワイシャツだと思っていたものが、明らかに俺だけの戦闘服に替わった瞬間だった。

code number:SF31200――四度目の正直で辿り着いたジャストフィット。

最高にして最強の一着を身につけた瞬間、一つ分かったことがある。

誰かと比べているウチは、青二才なんだ。

闘う相手は、誰でもない俺自身だということを。

俺の相棒――麻布テーラー。

———————————————————————————————–

生地・デザイン・サイズとシリーズ化して細かい部分をご紹介させていただきましたが、
このストーリーの主人公のように、お仕事を陰ながら支えさせて頂くための要素ではあると思いますが、全てではないと思います。

どういった目的でご注文されるのか、普段どんな生活されていらっしゃるのか、
たとえ同じサイズ、デザインになろうとも背景をもったシャツは、よりお客様にとって良いものとなると思います。

吉祥寺店スタッフ一同少しでも皆様のお仕事の助けとなれるよう勉強させていただきますので、
ぜひ店頭にてご相談ください。

お会いできることを楽しみにお待ちしております。

合わせて読みたい記事

季節とネクタイ

麻布テーラー別注Ermenegildo Zegna登場

  • #イタリア生地
  • #オーダー
  • #オーダースーツ
  • #おしゃれ
  • #クラシック

話題のア・イ・テ・ム