PITTI UOMO 93#3

フィレンツェからミラノに移動して、ミラノに滞在しながらネクタイを仕込みにコモに1日、ブレッシアにベルトの新企画のために1日、ミラノ市内で展示会やショールームやコレクションで1日。最終日のショールームを他メンバーに託して2つ外してもらい、3時間だけ休みを取りました。仕事の充実度と達成感は毎回少しずつ進歩しているのですが、この長い出張で移動と食事と睡眠以外での3時間の休みは、さすがに疲れます。仕事の成果とは反対に、クリエーティブディレクターとして何か大切な物を失っている感じる今日この頃です。。。
ということもあり、研修組とは別に今回は私の専属アシスタントとして麻布テーラーのエース2人を同行させています。
ツインズのようなこの2人に全てを託せるようになるまで、広く温かい気持ちで我慢強く見守ろうと思っています(苦笑)。
さて、今回のテーマはネクタイ。スーツやジャケットは変わらずとも、Ⅴゾーンの変化で新しさを出すための費用対効果の高いキーアクセサリーなので、覚えていていただけると便利ですよ!
「ワイドストライプ&パネルストライプ」
英国調のスーツやジャケットのストロングパターンは、柄が大きく強いのでレジメンタルでもピッチの広い方がまとまりやすく、このようなデザインが増えています。懐かしいパネルストライプも新鮮です。
「ビンテージ柄とビンテージ色」
英国調のクラシックなスーツやジャケットには、幾何学模様やペイズリーやメダリオンなどクラシック柄がマッチ。新しさでは、マスタードやペトロブルー、パープルをアクセントカラーにビンテージテイストを演出しています。前述のストライプ同様にビッグパターンが重要です。
「ウールプリントとシルクプリント」
ここまでプリントの露出が増えるのは珍しいです。ネクタイブランドでプリントを提案していないブースがないといってよいほど。プリントならではのマットなカラーとビンテージ柄の掛け合わせは、来シーズンの筆頭トレンドになります。
このようなピッティウオモでのトレンドを背景にして、来年の麻布テーラーのメインルックスを想定しながら、バイイングだけではなくコモに入りオリジナルの色柄出しをして独自性を出しています。
このような作業は日々の勉強は勿論のこと経験なしには成立しません。ツインズのようなこの2人に全てを託せるようになるまで、広く温かい気持ちで我慢強く見守ろうと思っています。でも、コモのこの素晴らしい景色と素晴らしい食事だけは、マスターしていたようです(苦笑)。いやいや、この気持ちこそパーソナルなライフスタイルウェアを提案する我々にとっては重要なのです。私はそう社長から教育されました。クリエーティブディレクターとして何か大切な物を失っていることを感じさせてくれた2人に感謝します。