生地ブランドについて、マーチャントとミル【ミル】 

生地ブランドについて、マーチャントとミル【ミル】 

銀座six店のブログをご覧いただき、ありがとうございます。

スタッフの宮林と申します。

前回、マーチャントについてご紹介させて頂きました。

今回は、ミルについてご紹介させていただきます。


目次

ミルとマーチャントとは

ミルのご紹介

・FRATELLI TALLIA DI DELFINO フラッテリタリアディデルフィノ (イタリア)

・Loro piana ロロ・ピアーナ(イタリア)

・Ermenegildo Zegna エルメネジルド・ゼニア (イタリア)

・VITALE BARBERLS CANONICO ヴィターレ・バルベリス・カノニコ (イタリア)

・CARLO BARBERA カルロ バルベラ (イタリア)

・GUARBELLO グアベロ (イタリア)

・FOX BROTHERS フォックスブラザーズ (英国)

個人的にオススメ生地のご紹介


ミルとマーチャントとは

ミルとは織物工場の事で、独自のブランドを持っています。規模に大小があり、牧場から経営しているところもあれば、糸を仕入れて、染色過程は他社へ依頼する工場もあります。以前にブログでご紹介させていただきました、英国ハダースフィールド、イタリアのビエラ、日本は尾州が世界毛織物三大産地にミルは多くあります。

マーチャントは、織物商社です。原毛を仕入れて、傘下のミルにそれぞれに生産を依頼します。世界中に販売能力のある商社はニーズをしっかりつかみ、ミルの特徴を活かし、魅力的な生地を生み出します。


ミルのご紹介

・FRATELLI TALLIA DI DELFINO フラッテリタリアディデルフィノ (イタリア)

個人的に好きな生地メーカーの一つです。1903年良質な水に恵まれたビエラ地区ストローナにデルフィノ家によって設立されました。1921年に創業者の息子達が生地取引の商社をはじめ、1929年に梳毛糸生産の為の新会社を設立します。1933年には、2社が協力して織物メーカー「FRATELLI TALLIA DI DELFINO」として地位を築いていきます。1960年代の経済成長期に入るとアパレル分野に参入し、仕立て屋向けの生地に力を入れます。そして最も敬意のあるイタリアの仕立て屋へ生地を供給するブランドへと成長を遂げます。現在はマルゾットグループに属して世界中に最高級の生地を届けています。

デルフィノは、繊維の産地を公表しています。メリノウールはオーストラリア・ニュージーランドから、カシミアはモンゴルと中国の高原産から工場へ直送し、モヘアは南アフリカで最も名声の高い農場のみを厳選しています。シルクは中国産、リネンはベルギー、フランスのノルマンディから仕入れています。素材の拘りと生地作りの誠実さを感じます。


・Loro piana ロロ・ピアーナ(イタリア)

プレステージファッションブランドって感じなのがロロピアーナです。生地メーカーのブランドというよりはファッションブランドのイメージがあります。歴史は古く2世紀以上、6世代に渡り職人が伝統と品質の追求心を引き継がれています。ロロピアーナは、原料の調達から糸作り、生地作り迄一貫して生産を行っています。個人的に、ファンの方が多いブランドだと思います。絶対的信頼があり、毎度ロロピアーナからお選び頂くお客様も少なくありません。


・Ermenegildo Zegna エルメネジルド・ゼニア (イタリア)

現在は、ラグジュアリーブランド【トム・ブラウン】【トム・フォード】をグループに有し、メンズフォッションを牽引するゼニアグループは、1910年エルメネジルド・ゼニアが18歳の時に会社を継ぐところからはじまります。ゼニアは素材の開発から生地迄、一貫して生産を行っています。ラグジュアリーブランドへ供給する事にも力を入れて、1938年にはアメリカへ輸出を行い、1945年には40か国以上の国へ供給しています。そして、プレタポルテ(高級既製服)に参入し世界中にショップを広げていきます。また「ス・ミズーラ」いわゆるパターンオーダーを開始します。2009年、エルメネジルド ゼニア グループは、高品質なシルク織物を得意とするTessitura di Novara(テッシトゥーラ ディ ノヴァーラ)社を買収、2012年ビキューナ、カシミア、極細のウールの混毛を得意とする、Pettinatura di Veronne(ペティナチュラ ディ ヴェロンヌ)社の株式を取得、2016年、エルメネジルド ゼニア グループはBonotto(ボノット)社の株式の過半数を取得。同社は、大量生産に対するスローファクトリー運動を打ち出し、手作業のクラフトマンシップと伝統的な技術に重点を置いています。2019年には、ジャージー生地の大手Dondi(ドンディ)社の株式の過半数を取得しました。伝統を守り、時代ともに成長するゼニアは最高級だと個人的に思います。


・VITALE BARBERLS CANONICO ヴィターレ・バルベリス・カノニコ (イタリア)

2013年、350周年を迎えたカノニコ社。200年間、同一のファミリーによって営まれるという歴史を持つ企業のみが加盟できる『エノキアン・クラブ』に加盟している、由緒正しい企業です。

発祥は1663年まで遡ります。『取り立て税共通記録』がカノニコ社に関する最も古い記録です。そこには、税金を現金と残りをグレーの綾織物で収める事をサヴォイア公が認めたと記載があります。染めの技術を会得していた数少ない一家で、父から子以外へ決して漏らさなかった事も証言しています。

1800年代半ばになると、産業革命の勢いに乗り機械化が進み、織機73台にまで拡大。自動織機の導入により、織り、染色、縮絨加工、紡績という生産活動を工業施設内で全て行えるようになりました。

1890年から1906年に、当時最高品質を誇ったドイツ製の織機を導入しオートメーション化を進めます。また1900年代に入ると電力を導入します。これが1910年にカノニコ社が一貫生産を行えるようになる原動力となりました。

1936年、ファシズムと第二次世界大戦に経済危機に陥り、労働力、電力、機械部品、染料、あらゆるものの調達が難しくなり、ウールメーカーとしての自由は奪われました。そんな困難のなか、共同経営は解散する事となりヴィターレ・バルベリス・カノニコ社が生まれます。

以降カノニコ社は、恒常的に技術を導入し生地の質はどんどん良くなります。また経済成長期を迎え、売上を伸ばし、カノニコ社は地位は国際市場の中で不動のものになります。現在も海外輸出はカノニコ社の最大の強みとなっています。

歴史が長いので年表みたいになってしまいました。カノニコ社は、長い歴史のアーカイブに新しいニュアンスを追加して素晴らしいコレクションを展開してくれています。個人的に思うのは、前述のメーカーよりも良い意味で「生地屋さん」感が強いです。仕立ての良いスーツを陰で支えてくれてる感じが好きです。私は一番オススメする機会が多い生地メーカーかもしれないです。


・CARLO BARBERA カルロ バルベラ (イタリア)

こちらも、私はオススメする機会の多いブランドです。カルロバルベラは1949年創業、極細のウールやカシミアを得意とするメーカーです。代表的なのは、二代目オーナー【ルチアーノ・バルベラさん】じゃないでしょうか?1960年代後半から世界的ダンディとしてメンズ業界を牽引する、めちゃくちゃカッコいいおじさまです。世界中の憧れルチアーノさん。僕はポケットチーフが好きですが、あんなエレガンスにさしたいものです。そんなルチアーノさんは英国留学を経てエレガンスに目覚めます。ご本人の憧れはウィンザー公爵、エドワード八世だそうです。1969年創業の世界的高級スーツブランド【Kitonキートン】の創成期のメンバーとして参集され、2010年Kiton Groupに入ります。グループ加入後は本社を移転し、最新設備の新しい工場を設立、労働環境は大幅に改善されました。キートングループにとって、カルロバルベラの加入は、「常に最善を尽くす」使命を永続的に達成する為に特に重要でした。グループに入り、継続的な市場調査によりコレクションは更に感度を増し、世界中のハイブランドから、注目と信頼を獲得しています。


・GUARBELLO グアベロ (イタリア)

こちらも、キートンと生地を共同開発しているイタリアミル。ビエラ地区に本拠地を置き1815年創業のイタリア老舗ミルです。キートン以外にも、【Brioniブリオーニ】とも採用され、イタリアクラシコ至宝のブランドと良きパートナー関係を築いています。現在タリア・デルフィノ社と同じマルゾットグループに属しています。キートンやブリオーニから信頼を獲得しているグアベロ社は、原材料を徹底的に厳選し、長年の経験と製織技術に、最先端のテクノロジーを融合した手法によって生産しています。最先端の織機ですが、あらゆる工程で熟練した人間の手によって、常に修正や調整されています。仕様どおりにセットした糸を一気に織りあげるのではなく、生産途中で幾度も確認をしながら1cmずつ丁寧に織り進めています。その絶対的品質への拘りにより絶妙な風合いが生み出されています。


・FOX BROTHERS フォックスブラザーズ (英国)

伝統的英国ミル「FOX BROTHERS」創業は1772年です。公式にはフランネルの創始者として認められており、Fox には創業当時まで遡るパターン アーカイブがあります。エリザベス女王1世の時代からウール事業を行っているとされる英国西部サマセットに1772年工場を設立しました。以降、銀行を設立、設備投資、時代を先取り福利厚生の慣行を実施するなど、産業革命の時代を牽引しました。最大規模の時は従業員を5000人雇用し熱心な従業員の為に見習いプログラムも設立しました。フォックスブラザーズと言ったら、フランネル。「If it’s not Fox, it’s not flannel(フォックスでなければ、フランネルではない」と耳にする事もあります。


個人的にオススメ生地のご紹介

本日ご紹介させていただきました、ブランドからオススメの生地をご紹介致します。

まずは、ロロピアーナからブルーの生地です。発色の良いブルーはイタリア生地らしい魅力があります。ロロピアーナ社のアイコン商品「TASMANIAN タスマニアン」は、最高級の超極細の繊維を使用しています。スーパー170’sという表記がその意味です。極細の繊維を使用している生地のメリットはきめ細かくなるので、肌触りが柔らかく美しい光沢を生み出します。一方弱くて、シワになりやすいイメージがありますが、ロロピアーナ社は極細の繊維を贅沢に使用して、しっかりした糸を作っています。またその糸をしっかり、打ち込み目の詰まった生地に仕上げています。光沢と滑らかな肌触りに、弾力性も加わり、まさに最高級の生地です。

つづいて、ゼニアのグレーです。深みのあるオシャレなグレーが豊富に揃っています。ゼニア社の看板商品と「TOROFEO トロフェオ」は1963年に誕生しました。ゼニア家はオーストラリアの農家がますます高品質のウールを生産し続ける事を奨励する為に、年に一度最高級の原毛を生産した農家を栄誉ある表彰であるエルメネジルドゼニアウールトロフィーを授与する事にしました。ゼニア社が誇る最高品質のウールが仕様されています。

フォックスブラザーズから、「CLASSIC FLANNEL クラシックフランネル」をご紹介します。しっかりした厚みも魅力的ですが、色味が良いと思います。グレーの中に色々な色味の繊維が入る事で深みのあるグレーに仕上がっています。簡単に言うと生成りがかってるって感じです。

カノニコ社からも、あえてフランネルをご紹介します。カノニコのフランネルはフォックスと比べると、「キレイ」に染まっている感じがします。「キレイ」というのは単色に近いという意味です。ふんわりと柔らかく、光沢もありフォックスとは違った魅力があります。色味は青みがかったって感じです。あくまでも個人的に感じた事ですので、ご来店の際はどちらの魅力も確認して下さい。

最後に、バルベラからジャケット生地です。発色の良いブラウンチェックです。洒落感が強い生地ですので、コーディネートをお楽しみいただけると思います。


今回は、イタリアを中心にミルブランドについてご紹介させていただきました。各社様とも伝統があり、魅力的です。麻布テーラーはお取り扱いの生地が多いので、お客様に合ったブランドが見つかりましたら幸いです。是非ごゆっくりお買い物をお楽しみ下さいませ。

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