定番モデルもリニューアル。

定番モデルもリニューアル。

昨晩は、ベンベルグ(キュプラ)裏地のレセプションパーティにご招待されたので、副社長と一緒にお邪魔してきました。服飾史家である中野香織さん、クラシコイタリア協会長(イタリアHERNO代表)のトークショー他、1930年からのファッションの歴史、伊アパレルの新作展示、ベンベルグ裏地発展の歴史紹介などの様々な展示と共に、メンズファションのドレスアップの奥深さを改めて考えさせる貴重な時間を過ごさせていただきました。着心地の陰の立役者であるキュプラ(ベンベルグ)裏地ですが、様々な高級ブランドで使用されている理由が良く理解できました。

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しかし、濃い業界人ばかりがこれだけ集まると、カクテルパーティでお酒の力を借りなくても酔ってしまいますね(笑)。

 

さて、キュプラといえば、キュプラ裏地を使用したオーダーコートの新作モデルがあります。正式にはリニューアルモデルなのですが、早くもメンズクラブでご紹介いただき大反響を得ています!

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ドレスコートのトレンドは、しばらく続いたスポーティなデザインやコンパクトなサイズ感が今年にきて大きく変化しています。デザインではラグランスリーブやベルテッド(ベルト付き)ディテールの台頭、サイズはゆったりとした身幅とやや長くなった着丈がポイントです。それに伴い、麻布テーラーのオーダーコートも定番デザインでも少しずつリニューアル作業を行っています。

 

今回、ご紹介するのは、このようなトレンド変化に合わせてリニューアルしたトレンチコートです。トレンチコートの起源は、ご存知のとおりイギリス軍が第一次世界大戦の寒冷な欧州において「トレンチ(塹壕)」での戦いに対応するため、防水型の軍用コートとして開発したものです。いわゆるミリタリーウェアが起源です。

 

その過去と現代を融合させる作業をしました。参考にしたのが、数十年前にロンドンのカムデンマーケットで購入したビンテージのAquascutumのトレンチコート。学生時代は古着マニアだったので自宅には参考資料という言い訳だけで閉まっている貴重?なビンテージウェアが沢山眠っています(汗)。将来は古着屋を始めようと思っていたぐらいですから、当時勉強したウンチクはまだ頭に残っています(笑)。

 

まずは、モダンなセットインスリーブだったものを、運動性を考慮したラグランスリーブに変更。雨風を防ぐためのチンストラップや前あわせを補強するストームフラップと袖口とウエストベルト、双眼鏡や拳銃の紐を固定するため、肩に付けられたエポーレットはそのまま残し、ウエストベルトに付けられた手榴弾などを吊るすためのDカンは重いだけで実用性がないので外しています。古典的なトレンチコートにある腰ポケットと内側のマガジンポケットをつなげた貫通ポケットを採用。フロントボタンを留めた状態でも内側着衣の小物を取り出すことが出来ます。シルエットは裾にかけてのゆとりを持たせて、ベルトを締めることにより美しいドレープが出るようにしました。着丈も今の流れを意識して膝上10㎝をイメージしてマスターパターンを作成しました。もちろん、オーダーなのでサイズはお客様のイメージに合わせて対応もできます。

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素材は写真のウールをセレクトしてシティスタイルに、槙野選手のように英国空軍パイロットの耐水服素材として開発されたコットンから生まれた高機能素材であるベンタイル(織機の限界まで糸密度を高め打ち込み織りあげた天然素材で撥水性、通気性、透湿性に優れている)で知的ミリタリースタイルも素敵です。生地もお客様好みで選べるのもオーダーの楽しさです。

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最後は着心地の陰の立役者である裏地も選択。裏地はやはりキュプラでお選び下さい(笑)。

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