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守るべき事と変えるべき事。

上月 剛

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今年の2月に訪問したトップサルトリアであるミラノのA.カラチェニ。A.カラチェニの3代目であるカルロ・アンドレアッキオ・カラチェニさんからとても興味深い話しを聞きました。

スーツを仕立てる際に最も重要な型紙(パターン)。重要なだけに、息子さんのマッシミリアーノの二人しか採寸・型紙の作成をしないとのことは、以前のブログでも書きました。その型紙は、こんな感じで大切に保管していると見せてくれました。

世界トップレベルのウェルドレッサー達も虜にするサルトリアですから、今は亡きセルジオ・ロロピアーナを筆頭にファッションに携わるプロ中のプロの型紙も多数。

ジョルジョ・アルマーニ 、ジャンニ・ヴェルサーチェと共にミラノの3Gと称される有名デザイナー、「ジャンフランコ・フェレ」の型紙。

そして、私も大好きな「ラルフ・ローレン」までも。

カルロさんいわく、ラルフ・ローレンは釦位置を決めるのに5時間も論争した。でも、カラチェニスタイルを守るために釦位置は譲れない、最後にはラルフ・ローレンも私のスタイルを受け入れたと、優しい口調で型紙をみながら当時の様子を話してくれました。

 

ともに、ファッションのプロであるが故の鳥肌が立つエピソードです。麻布テーラーは、このようなお客様別に型紙を作成して、数回の仮縫いや中縫いを行うテーラーではありませんが、麻布テーラーとしてハウススタイルを持っています。もちろん、お客様のイメージを具現化するために最善の努力は惜しみませんが、麻布テーラーとして譲れない箇所もいくつか存在します。それは、時代を超えても変わらない完成されたスタイルをベースにしながらも、時代と共に変化させていかなければならない事とのバランスが重要だという根底があるからです。

 

古いのに新しい。トラデショナルなのにモダン。これこそが、麻布テーラーの目指すスタイルです。A.カラチェニの3代目であるカルロさんのこのスーツを見てください。自身が仕立てたスーツの中でも一番新しいとはいえ、約20年前のもの。打ち込みのしっかりとした英国製のフランネル素材を使用した、ベステッドスーツは古さをまるで感じません。

しかし、ジャケットの裏側を見るとシルク裏地はこんなにボロボロ。。。それでも、時が経っても価値を失わない。本物たる所以がここに隠されているように思えます。

そして、左手には最新のアップルウォッチ。顧客からの電話を即座に対応するためだと言っていましたが、彼自身のハズシの美学としての意味もあるとは思います。

守るべき事と変えるべき事。麻布テーラーは真剣に考え、お客様に常に必要とされるショップを目指して邁進いたします。

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