上月のきづき#PIITI UOMO110超速報!
現在、フィレンツェ時間の深夜4時。完全に時差ぼけです(笑)。日本を出発して19時間20分。旅慣れているとはいえ、翌日の恒例2ショットを見れば、その過酷さが伝わるかと思います(汗)。眠れないなら書いてしまおうということで、ピッティ初日の超速報をお届けします。


ピッティ初日は、スーツ屋として今年もタイドアップスタイルを貫きました。私が着用したのは、以前のブログでもご紹介した「スペアジャケットスーツ」。ブレザースーツと同素材で仕立てたダブルブレステッドジャケットを組み合わせたスタイルです。
モデルはクラッシーアドバンス。衿幅11cmのワイドベリード仕様です。本来はモードテイストのモデルですが、ボタン位置や腰位置を下げ、腰ポケットも両玉縁に変更することで、よりクラシックな表情にアレンジしました。
このスーツはプレス展示会でも着用し、多くのメディアの方々からお問い合わせをいただいた一着です。採寸は、インスタライブでもお馴染みの東京エリア長・河野さんに丸の内店で担当していただきました。
後日お礼を伝えた際、「表面ではニコニコしていましたが、上月さんの採寸はプレッシャーで冷や汗をかいていました(笑)」と言われましたが、イメージ通りに仕上げてくれたのは、さすが名フィッター河野さんです。
私と同じイメージで作りたい方は、丸の内店に前寸がありますので、「上月モデルで」とお伝えいただければ再現可能です。すでに社内でも数名が同じ仕様でオーダーしているようです(笑)。
さて、初日を終えたばかりですが、リアルクローズをモットーとする麻布テーラー目線で、最速のトレンド速報をお届けします。
ピッティでは製品を見る。ウニカでは、その背景にある生地を見る。つまり、「何が売られるのか」と「なぜそれが売られるのか」を同時に確認できたシーズンだったと言えます。今回ピッティウモモ110を歩いていて感じたのは、とにかく“軽さ”の加速です。 軽い仕立て。軽い見え方。軽い着心地。そして何より、肩肘張らない空気感。



スーツが減ったと言われますが、実際には消えているわけではありません。むしろスーツは、より自然に、より柔らかく進化していると感じました。 会場を回っていて最初に感じたのは、「無地が増えた」ということでした。もちろん完全な無地ではありません。遠目には無地に見える。近くで見ると組織変化や糸使いによる表情がある。そんな素材が圧倒的に増えています。チェックを探しても、はっきり主張するものは少ない。輪郭が曖昧で、無地と柄の中間にあるような表現です。



なぜこうなっているのでしょうか。理由は明確です。春夏シーズンのスーツは、もはやスーツ単体で考える時代ではありません。トレンドの中心はセットアップです。
スーツとしてタイドアップで着る。ニットを合わせる。ジャケット単品で着る。スラックス単品で着る。
そのすべてを成立させるために、柄の主張は控えめになっているのです。素材も雄弁ではなく、静かな印象。だからこそ着回しやすく、長く楽しめる。そんな考え方が背景にあるように感じました。
もうひとつ目立ったのがリネンです。ただし、従来のリネンではありません。リネンらしい表情を持ちながら、ストレッチ性や機能性を備えているものが非常に多く見られました。


見た目は天然素材。着心地は現代的。これは今のメンズ市場全体を象徴しているようにも感じます。クラシックか機能か。ドレスかカジュアルか。そんな二択ではなくなりました。今は両方必要なのです。
変形組織やクレープ組織も数多く提案されていました。共通しているのは、柄ではなく表面感で見せるという考え方です。以前ならチェックやストライプで表現していた個性を、今は組織や風合いで表現している。言い換えれば、「デザインの時代からテクスチャーの時代へ」そんな変化も感じました。


色についても同様です。ライトパステル。シガーブラウン。ブルゴーニュ。ウルトラマリン。どれも強い色ではありません。ベージュやグレージュを軸に、ほんの少し色気を加えた提案が中心でした。 大きな主張よりも、近くで見たときの美しさ。そんな価値観が色にも表れていました。



ピッティで服を見る。ウニカで生地を見る。そうして見えてきた2027SSの方向性は、意外なほど明快でした。新しい服を作ろうとしているというより、新しい心地よさを作ろうとしている。派手なトレンドは少ないですが、静かに大きな変化が起きています。2027SSは、服そのものよりも「どう着たいか」が主役になるシーズンなのかもしれません。
冒頭の2ショットも、実はそんな流れを表しているのかもしれません。いつもなら私がブラウンで、彼がネイビー。私がシングルで、彼が3ピース。でも結局は、その時に自分がどう着たい気分なのか。それが一番大切なのです。このブログでもっとも、社内で一番話題になっているのは、彼がサングラスを掛けていることかと推測されます(笑)。
深夜4時、時差ぼけの頭で書いているので、少し熱く語りすぎたかもしれません。まずは初日の超速報でした。以降も、現地で感じたリアルな変化をお届けしたいと思います!