重厚で古臭い、ではなくクラシックを今の空気で着ること
本日は少しだけ季節を先取りして、秋冬らしい「厚い」生地を「熱く」語らせてください。
今回ご紹介するのは、英国を代表する老舗ミルのひとつ、MARLING & EVANS(マーリン&エヴァンス)。
英国らしい素朴な風合いと、しっかりとした仕立て映えを楽しめる生地を得意とし、なかでも秋冬のフランネルはブランドの魅力を存分に感じていただけるカテゴリーです。
そんなMARLING & EVANSのベストセラーシリーズのひとつが、今回ご紹介する「BRETTON(ブレットン)」。

16番手の紡毛単糸を使用した本格的なフランネルで、……と言われても、少し分かりにくいですよね。
簡単に言えば、ふんわりとした太めの毛糸を使って織り上げた、秋冬らしい肉厚な生地です。
糸が太いことで生地にはしっかりとした厚みが生まれ、表面にはフランネル特有の柔らかな起毛感が現れます。
見た目にも温かみがありながら、仕立て上がると輪郭がぼやけず、スーツらしい堂々とした佇まいを楽しめるのが魅力です。
そして今回、ぜひご覧いただきたいのがこのワイドピッチのチョークストライプです。

英国服ではお馴染みのチョークストライプですが、こちらは麻布テーラーが柄をデザイン別注。
あえてストライプの間隔を広く取ることで、クラシックな柄でありながらどこか現代的で、他にはない存在感に仕上がっています。
細かなストライプが端正さを演出するものだとすれば、こちらはもう少し堂々と。
スーツそのものが主張しすぎるのではなく、着る方の自信を自然に表現してくれるような一着です。
今回のサンプルでは、そんな生地の魅力を活かしながら、仕立て自体は極薄の芯地を用いた軽量仕様に。
「しっかりした生地なら、仕立ても重く」というわけではありません。
目が詰まり、芯の強さを持つBRETTONだからこそ、軽やかな仕立てでもラペルはふっくらと美しくロールします。
写真でもお分かりいただけるでしょうか。

胸元から第一ボタンへ流れていく立体的なラペルは、過度に構築するのではなく、生地そのものが持つ力を素直に引き出した表情です。
裏地には、表地と同系色のキュプラ素材を。
無地でシンプルにまとめても素敵ですが、これだけクラシックなスーツなら、ペイズリー柄で少し貫禄を加えるのもおすすめです。

ジャケットを脱いだときにだけ覗く華やかさも、オーダースーツならではの愉しみではないでしょうか。
そしてネイビーと並んでおすすめしたいのが、チャコールグレー。

昨今のモノトーンを基調としたスタイルとも相性が良く、英国的なチョークストライプを、よりシックで都会的に楽しんでいただけます。
毎年ご好評いただく別注生地は、秋冬本番を迎える頃には完売してしまうことも少なくありません。
「こんなに暑いのに、もうフランネル?」
……そのお気持ちはよく分かります。
ですが、暑い季節だからこそ申し訳ございません。
今年も良い生地が入ってきてしまいましたので、「厚い」生地を「熱く」ご紹介させていただきました。
季節が変わり、コートを羽織る頃。
この堂々たるチョークストライプが街に馴染む姿を、ぜひ想像してみてください。
秋冬の装いが少し楽しみになる、そんな一着です。
azabu tailor / 麻布テーラー 新宿South店
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