村井の犬の耳~麻布テーラーのオーダートレンチコートは国語辞典の歩み~

村井の犬の耳~麻布テーラーのオーダートレンチコートは国語辞典の歩み~

 

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麻布テーラー心斎橋店のブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
村井です。

 『村井の犬の耳』の概要としましては、私の趣味の一つである読書を交え、ただ洋服について書くだけでなく、読んだ本(実際は読んでないけど、読んだ風に騙り語れる本)に関する内容、知識等を少し織り交ぜながら、お届けできたらといったものになります。よろしくお願いいたします。

※「犬の耳」とは⇒本の気になった、気に入ったページの角を折った際にできる三角形のこと。犬の耳に見えることから「ドッグイヤー」と一般的に呼ばれる。

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 麻布テーラーではスーツやシャツのみでなく、コートも豊富な生地の中からオーダーできるアイテムの一つです。
そのコートもいくつか種類があるのですが、今回は今季リニューアルしたトレンチコートにフォーカスを当てたいと思います。

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 トレンチコートがどう国語辞典と関わってくるかの前に、まずは少しトレンチコートの歴史を見てみましょう。

時は第一次世界大戦まで遡ります。第一次世界大戦といえばキーワードとして「新兵器」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。戦車、飛行機、潜水艦、毒ガス、機関銃などですね。このキーワードである「新兵器」がトレンチコートの誕生のきっかけになるのです。

兵器の性能が大きく発達した戦争で、従来通り人間が生身を出して戦うのは非常に非効率な戦い方になります。そこでどれだけ開けた土地でも身を隠す遮蔽物が必要となりました。

その遮蔽物こそが英語で「トレンチ」と言われる塹壕です。塹壕とは、地面を深さ2~3mほど掘った溝のことで、目的通り敵兵からの銃弾を防ぐ効果を発揮したものになります。

一見よく機能してくれていそうな塹壕ですが、塹壕だからこそ脅威になったものが二つ。雨と寒さです。

塹壕は溝状の構造なので、塹壕内だけでなく、塹壕周りに落ちた雨も塹壕内に収束していきます。さらに、普段は下だけの地面ですが、横も一面地面となるので、雨でぬかるみ粘土状になった泥は兵士の体力や集中力を著しく低下させてしまうのです。
そして、塹壕に入れば基本敵兵と見合った膠着状態になるので、長期戦になります。雨天時の泥や寒さは長期戦の敵であり、破傷風やペスト、凍傷になる兵士が続出するなど、衛生状態は最悪で雨風(寒さ)を防ぐ衣服の調達が急務となりました。

そこで1915年、イギリスが雨にも風にも寒さにも強いトレンチコートをバーバリー、アクアスキュータムと開発し「バーバリー」という名で軍への支給サービスキッドのメニューに追加。これが現在のトレンチコートの初期型となります。

1915年に開発された初期型トレンチコート。実は3年後の1918年には現在とほぼ変わらない形のトレンチコートが完成するのです。

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 約100年もの歴史があるトレンチコート。100年の歴史と聞くと「ミリタリー要素が強すぎてビジネスシーンで使いづらいのでは?」と感じられるかもしれませんが、麻布テーラーのリニューアルモデルではそんな心配はいりません。

トレンチコート特有の動きやすくなる背中の長いインバーテッドプリーツや、ジャケットのポケットをコートの上からでも活用できる貫通式ポケット、袖口を雨風から守るアームベルト等、現代社会においても活躍するディテールは残しつつ、肩部分のエポレットやガンフラップ、ベルトのDカン等は取り除き、ミリタリー要素をできるだけ薄くしたデザインに仕上がっています。

オプションで取り外し可能なライナーを付けることによって、厚さ調整による暑さ調節も可能です。

前から見ると昨今のトレンドを意識したゆったりなAラインなのですが、後ろから見ると意外とスキッリ見えるのも、ビジネスシーンだと嬉しい要素の一つですね。

このように、麻布テーラーのオーダートレンチコートはミリタリー由来のトレンチコートの特徴を現代に照らし合わせて最適化した非常に使いやすいものとなっています。

「長い期間着れる薄手にも厚手にもなるコートが欲しい!」「持っているチェスターコートと違った形のビジネスコートが欲しい!」といった方に大変オススメのアイテムです。
¥77,000(税込み)からお仕立てすることができます。

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 歴史あるものを時代に合うよう要素の取捨選択をし、時間をかけながら進化させていく。

トレンチコートで言うならば、戦時中必要だったミリタリー要素が不必要となり、現代のビジネスシーン、ビルの並ぶ街に溶け込めるようシンプルでスッキリしたデザインに進化させていく。

まさに国語辞典でも同じことが起こっており、歴史ある言葉に対して改訂ごとに、使われなくなった単語や語釈、用例を除外。新しく使われていて、これからも長く街で耳に入りそうな単語や用例を収集、掲載し、進化させていく。

大枠で見れば麻布テーラーのオーダートレンチコートと国語辞典は同じ変遷を辿っていると言えるでしょう。

ちなみに私の大好きな新明解国語辞典では第七版から第八版にかけて(この間9年)1500語も新しく収録されていたります。約2日に1単語増えている計算です。あまり実感が湧きませんね(笑)

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 このように日本語の礎となる国語辞典と同じ歩みをしてきた麻布テーラーのオーダートレンチコート。あなたのファッションの礎の一つとして仕立ててみてはいかがでしょうか。

お連れ様と2人でかっこいいトレンチコートを着て並んで歩く姿も素敵ですね。お互いのオーダーのこだわりを赤裸々に語り合っても楽しいかもしれません。
打ち上げ花火の下でする打ち明け話のように。

 

~麻布テーラーのオーダートレンチコートは国語辞典の歩み~

 

村井


azabu tailor / 麻布テーラー 心斎橋店

〒542-0081 大阪府大阪市中央区南船場4-5-8 RASTER ON SHINSAIBASHI 5F 06-6281-4661


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