クオリティの高いスーツとは
麻布テーラー福岡店のブログをご覧いただきありがとうございます。
今回ブログを担当いたします江﨑です。
皆様はスーツのデティールについてどのくらい細かく見ていらっしゃいますでしょうか?オーダースーツの魅力は、自分に合ったサイズや、生地から決めることが出来るといった事が大きいですが、細かなデザインまで追求出来る事も魅力の一つだと思います。
今回はそんなデザインのデティールについて、特徴や由来など深掘りした内容をお伝えできればと思います。
オーダースーツの代名詞でもある本切羽。スーツにそこまで詳しくなくてもご存知の方は多いのではないでしょうか。ジャケットの袖の釦が単なる飾りではなく開閉出来る仕様となり、飾り切羽(開閉出来ない仕様)と比べると、実際に釦を外さなくてもホールのデティールがしっかり作りこまれている事が分かります。
日本では本切羽や本開きと呼ばれますが、英語ではSurgeon’s Cuffs(外科医の袖口)と呼ばれ、医師が診察や処置をする際に腕まくりが出来るように本開きにしたという説が有名で、他にはスーツ職人が自分の技量を見せつける為にしていたといった話もあります。
続いてはステッチについて。上衿や下衿などに手縫い風のAMFステッチというものが入ります。本来ステッチは手縫いで行われていましたが、かなりの技術と時間がかかる事から「アメリカン・マシン・アンド・ファウンドリー社」が手縫い風のミシンを開発し、社名を略してAMFステッチと呼ばれるようになりました。
そして「フルステッチ」とは、先ほどの衿部分に加えて背中心や袖の縫い合わせ、ダーツなどにも全てステッチが入ることで、手間や時間のかかるクオリティの高い仕立てとなります。
後ろから見るとどちらがフルステッチかがはっきりと分かります。良いスーツは後ろ姿でも説得力があります。
最後にご紹介するのは台場仕様。通常では内ポケット付近は表地と裏地が一直線で分かれていますが、ポケットを覆うように表地が贅沢にあしらわれるのが台場仕様となります。
このデザインの由来としては、内ポケットの耐久力を上げる為や、裏地を取り換える際に内ポケットの再縫製の手間を省く為などと言われています。
また[台場]という名前は、陸地(お台場)から砲台が飛び出る様を見立てて付けられたそうです。
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した3種類はどれも高級スーツではよく見かけるデザインで、手間と時間を要する仕様となります。デティールまで拘ったデザインもクオリティの高いスーツと言えるのではないでしょうか。
今後のデザイン選びの参考になれば幸いです。
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