麻布テーラーの人々 おじフェス(仮)

「麻布テーラーの人々」と題し、麻布テーラーと深く関係のある一線で活躍をされている方々にお話をうかがう本連載。今回は、メンズモデルとして各々活躍している4人によって結成された話題のユニット「おじフェス(仮)」。男前のミドルエイジがスーツをビシッと着こなしながらも、コミカルに踊るダンス動画がバズり、今や、全国各地のトークショーやイベントに引っ張りだこに。行く先々で多くのファンを魅了しています。10代からメンズモデルとしてのキャリアを積み上げ、その道のプロとしての地位を確立してもなお、新たなフィールドに挑戦し、輝きを放ち続けるオヤジたちが今回、麻布テーラーでスーツをオーダー。それぞれの仕事感やスーツへのこだわりを教えていただきました。

個々のファンはもちろん、グループで活動することにより新たな層を取り込みながらジワジワとその人気を加速させている「おじフェス(仮)」ですが、そもそも結成のきっかけはなんだったのでしょうか?

直樹さん:たまたまスーツのカタログ撮影で、章ちゃんと久保田と私の3人が一緒の現場になったことがありました。その時に、僕が「せっかくだから、3人で踊って動画でも撮ってみない?」と誘ってみたんです。その時の動画が、たまたま久保田のInstagramでバズって。これが面白がってもらえるんだなと、驚きましたね(笑)

久保田さん:これまでも3人で一緒の現場がある時には、普通にスチールをSNSに投稿することはありましたが、動画は初めての試みでした。慣れないながらも、3人でステップを踏んで踊った時の動画をSNSに投稿してみたところ、これが思いのほかハズってしまったのです(笑)これなんか面白そうかも!ってことになり、次回は、場所と時間を決めて、また踊りましょうってことになって。直樹さんがTAROさんに声をかけたのをきっかけに、4人で踊りはじめることになりました。

直樹さん:最初はInstagramのフォロワーが増えればいいか、くらいの軽〜い気持ちだったんですけれど、いざ活動しはじめてみると「モデルの仕事とは違うことにチャレンジしたら、何か変われるんじゃないか」と思うようになってきて、TAROが加入したことで本格的に4人のグループで活動しています。

章太郎さん:そもそも4人での活動を目的としてスタートしたわけではありませんでしたから、特にグループ名などは考えていませんでした。それでも初めは面白がって“おじさんフェスティバル”とか言っていたんですけれど(笑)。そのうち動画を見たファンから“おじさん祭りだ”というコメントをもらって。それなら“おじさんフェスティバル”にしようと。略して“おじフェス”になったんです。

なるほど。実際に、お仕事の面で何か影響はありましたか?

久保田さん:最近は4人で呼ばれる仕事がすごく増えてきましたね。地方で開催されるイベントのゲストやトークショーなどに呼ばれて踊らせてもらう機会が多くなってきました(笑)普段、モデルとして求められる印象とは真逆で、トークだったり踊りだったり、何か面白いパフォーマンスとのギャップを愉しんでいただけているようです(笑)

直樹さん:モデルは基本的に1人で現場に入って、撮影が終了したら帰るだけなので、モデル仲間がこうして撮影現場で一緒になる機会って、実はそれほど多くないんです。それが、ちょっと寂しい時もありましたが、「おじフェス(仮)」の活動を始めてからは、みんなといろいろ話せるのも刺激をもらえて楽しいですよね。

地方でのイベントやホテルでのトークショーなど、 モデルの仕事以上に多くのファンの前に立ってパフォーマンスする機会も増えたわけですね。 リアルなステージに立つわけですから、周囲からの視線もこれまで以上に気になるでしょうし、 やはり衣装であるスーツの選び方やその着こなしにもこだわりが生まれてくるはず。 ということで、今回、麻布テーラーもお世話になっている皆様にお声がけをさせて頂き、 麻布テーラーのオーダーでとことんこだわったスーツをお作りいただきました。

一同:ありがとうございます。麻布テーラーさんからのお声がけにより、今回の企画が実現することになりました!

着心地に関しての感想やオーダーにおけるこだわりのポイントなど、 それぞれにお聞かせいただけますでしょうか?

直樹さん:僕はもう最初からスリーピースをオーダーしようと決めていました。フロントボタンを止めないスリーピスは、まさに踊るためのステージ衣装としてうってつけのスーツといえるでしょう。ベストを着ていれば、たとえダンスでターンをしてジャケットがはだけてしまっても、だらしなくみえませんからね。

直樹さん:そして、これは4人のスーツに共通して言えることだと思いますが、生地の光沢感は特に意識したポイントになりますね。ステージに立ってスポットライトを浴びた時に、人の目を引き付けられるような、ドレッシーなスーツに仕上げたいと思っていました。

直樹さん:シャープに見えるストライプ柄は、英国の老舗マーリン&エヴァンスの生地。日本では麻布テーラーでしか展開しない、別注コレクションだそうで、赤い織りネームが目印。艶があり手触りが良く、柔らかい肌触りも抜群。とても満足しています。

続いて、ダブルブレストのスーツをオーダーいただきました久保田さんはいかがでしょうか?

久保田さん:4人の中では年齢的に一番の若手ということもあって、貫禄や威厳を示したいという思いもあったことからダブルブレストのスーツに挑戦しました。

確かに、クラシックスーツの代表的な存在であり、大人の落ち着きを示すのに最も適しているスーツといえば、やはりダブルです。

久保田さん:特にベーシックなネイビー系ストライプを選んだことで、遊び心と若々しさを以って着ることができました。また、昨今のダブルは合わせが浅く、かつてのような貫禄や威厳がありながらも、ジャストなサイズに細かく採寸をしていただけたオーダーということもあって、とてもスマートでスタイリッシュ。肩や腕の上げ下ろしなどもスムーズにできて、とても踊りやすかったですよ(笑)

イタリア、カノニコ社の「ペレニアル」と呼ばれる生地で、しなやかさと驚異のシワ回復力を持っているそう。見た目の美しさからは想像しがたいほどの丈夫で、ナチュラルストレッチが快適な着心地を実現してくれます。

これなら、これからの時季、子供の入学式や卒業式など、フォーマルな場にもふさわしいでしょうし、この精悍な姿は、デキるビジネスマン演出にもってこいですね!

久保田さん:この活動を始めるまでは、日常的にスーツを着る機会も少なかったので、着こなしのルールなどを、先輩方から教わりながら、愉しんでいます。

そして、今回4人の中では、最も個性的な色柄にチャレンジされたTAROさん。明るいベージュのグレンチェック柄が、春らしい明るい印象です。肌馴染みも良くて、非常にお似合いですね。

TAROさん:普段、自分ではまず選ばない色柄ですね。とはいえ、自分の好みや着用目的などを相談した上で、専任のスタッフの方から丁寧におすすめいただいた生地でしたので、とても安心感がありました。生地は英国スーツといえば、誰もがご存じ、ドーメル社のグレンチェックです。

ただ、オーダー時に見せていただく生地見本からですと、初心者の私には仕上がりのイメージがつきにくいところもありましたから、新たな発見への期待感と不安が入り混じる複雑な感覚でした。これは既製品ではまず味わうことのできない、オーダースーツならではの感覚だったのかもしれません。結果、仕上がりにはとても満足しています。

パッと見、派手に見えるがゆえにその扱い方が難しいと思われがちなグレンチェックスーツも、実はコーディネートを同系色にするだけで上品に着こなせるんです。適度に個性を演出しつつも、年齢にふさわしい落ち着きを感じていただけたのではないかと思います。

TAROさん:これまで選んだこともない色柄のスーツでしたからね。コーディネートに関しても自分で決めることができずに、専任のスタッフにお任せしました。私の言葉に丁寧に耳を傾けていただき、上手に誘導してくださったんだなと思います。

提案力があるんだけれど、それが押し付けがましくないというか。しっかりと誘導してくださっているのに、あたかも自分自身で選んだかのように感じられましたからね。そういうお店には思わずリピートしたくなってしまいますよね。

なるほど、ありがとうございます。 そして、最もコンサバ見えする紺無地スーツをオーダーされたのが加藤さん。 ベーシックな一着ですが、実は、ディテールを見ると随所にオーダースーツならではの 遊び心が散りばめられていて、実は、一番のお洒落上級者だと思います。

章太郎さん:気がつくといつもネイビースーツばかり購入していて。何着も持ってはいますが、実は、無地は意外と少なかったのです。そこで今回は是非、紺無地スーツを作ろうと思っていました。

ただ、紺無地スーツとは言っても、直樹さんの言っていた通り、あくまでもステージ上で着用することを前提に考えていましたから、生地の光沢感やドレッシーに見えるデザイン性、さらにパフォーマンスに耐えうる機能性と言った点にもこだわってオーダーをさせていただきました。

そうだったのですね。これでディテールに遊びを効かせてオーダーをされていた謎が解けました。

章太郎さん:ジャケットはシングルの合わせですが、フォーマル感の強いピークトラペルに。腰ポケットもスラントさせて腰回りをシャープに見せる演出を加えています。そして、パンツはベルトレスのサイドアジャスター仕様に。ベルトレスはオーダーならではの愉しみですよね。

上着に隠れて目立たない場所なので見過ごしがちですが、ベルトレスパンツはスタイルに大きな変化をもたらします。理想のスタイルは、股上少し深め、そしてワンプリーツ。ベルトレスのウェストからストンと綺麗に落ちるシルエットが堪りません!

生地はあえて高番手にはせず、イタリアのカノニコ社製スーパー110’Sウールに。無地の中でも霜降り感のある生地のため、グッと色気を感じさせると思います。

さすが!スーツに一家言持つミドルエイジらしいコメント。ひとくちにネイビーとはいっても、シルエットやディテールによって印象が大きく変わるということですね。合わせる色や着方によっても、「とても無難」にも、「かっこよく」もなりますからね。

章太郎さん:そうそう。そこは今回、頼れる専任スタッフからのアドバイスを仰ぎました。タブカラーシャツで襟元にシャープさを加えつつ、ノットがクイっと持ち上がったことで、Vゾーンに立体感が加わり、程よい柔らかさも生まれています。自分のこだわりを随所に反映させてもらったスーツですから、いつも以上に愛着が湧いていますし、とても満足しています。大切に永く着用していきたい一着になりました。

スーツ初心者もベテランも、それぞれの感性で愉しめるのがオーダースーツの魅力。4人の個性やこだわりが反映されたオーダースーツの洗練さはとても魅力的でした。着る人のパーソナリティを上手に引き出すことに長けた麻布テーラーのオーダースーツで、これからもますます、「おじフェス(仮)」はもちろん、個々のキャラクターを輝かせていってください!


おじフェス(仮)

モデルの、久保田裕之・直樹・加藤章太郎・TAROの4名で結成されたユニット。スーツ姿で踊る動画が話題を集める。メンズモデルの新しい一面を見せていくことをモットーに、ファッション業界にとどまらない活動を展開中