麻布テーラーの人々 戸苅淳さん(浦和レッドダイヤモンズ フットボール本部 本部長)

「麻布テーラーの人々」と題し、麻布テーラーと深く関係のある一線で活躍をされている方々にお話をうかがう本連載。第三回目となる今回は、浦和レッドダイヤモンズ、フットボール本部の本部長、戸苅 淳さんにご登場いただきました。2011年から浦和レッドダイヤモンズが纏うオフィシャルテーラリングを担ってきた麻布テーラーとのパートナーシップは、今年9年目を迎えます。フットボール本部の戸苅 淳さんに、その仕事感やフットボールクラブとスーツの関係について教えていただきました。

浦和レッズというクラブのためにビジネスを築いてきました。

今年の1月からフットボール本部長に就任されたそうですが、 まずは戸苅さんとサッカーとの出会いを教えてください。

戸苅さん:私は、浦和で生まれて浦和でサッカーと共に育ちました。小学校からサッカーを始め、浦和南高校に進み、故・松本暁司先生にサッカーの基礎から教えていただきました。大学では、井原正巳さんや中山雅史さんと一緒にサッカーを学ぶことができました。そして大学卒業後のステップとして、スポーツビジネス、スポーツをプロ化した形を作っていくということを仕事にしていきたいと志を持ちました。浦和レッズの選手として一年間プレーをさせていただいた後、今の道に進みました。それから27年間、ほぼ事業系の仕事に従事し、浦和レッズのトップチームが活躍できる、クラブのためにビジネスを築いてきました。

なるほど。浦和はサッカーの街とも言われていますから。 まさにサッカー一筋の道を歩まれてきたわけですね。 そして今は、選手からチームを運営する側へ。 具体的にどのような役割を担っていらっしゃるのでしょうか。

戸苅さん:フットボール本部全体のマネジメントです。特にトップチームの投資効率は適切か、関連グッズの開発・販売、パートナー企業との連携といった、クラブ全体を経営面から見ていく、という立場になります。そして目指すべきところは、勝利のための仕組みづくりです。勝つために何をすべきなのか、優勝するための仕組みづくりに注力しています。そうして周辺環境を整えながらプロサッカー試合の興行などを行う一方で、サッカーの街、浦和を始めとした地域への貢献と、子どもたちへのサッカー普及にも力を入れています。

多方面に渡ってご活躍ですね。 それにしても、スーツが良くお似合いです。 やはり、普段のお仕事でも スーツを着る機会は多いのでしょうか?

戸苅さん:そのシーズンのスーツが麻布テーラーさんから会社に納品されてくると、誰よりも早く真っ先に試着して、会社中をスーツで歩き回ってしまうくらい。麻布テーラーさんに出会って以来、スーツを着ることが本当に愉しくなりました。そのスーツ姿が社内でもちょっとした話題になっているようで、実は『Mr.Azabu』なんて呼ばれていたりするんですよ(笑)。周囲から見られているという意識があるからこそ、きちんとした服装でいなくては、と思うようになるものです。

やはり、身嗜みや服装については普段から意識されていることがあるのでしょうか?

戸苅さん:実は、これは随分前の話になりますが、指導者が集まる会食に参加した時のこと。その会場で、恩師でもあった松本暁司先生がスピーチをされていたことがありました。その中の言葉に、立ち姿や仕草にまで気を配れる指導者になって欲しい、と言ったような話があったんです。当時、その言葉がすごく心に響いて、それがきっかけで、自分でも身嗜みや振る舞い方について、意識するようになりました。それ以来、今も週に3日はランニング、そして週一でサッカーをして、スタイルを維持するように努めています。

我々には『革新と伝統』というフィロソフィーがあります。

企業同士、同じ価値観を共有でき、9年にも及ぶ良好なパートナーシップを築いてきた理由はどこにあるのでしょうか。

戸苅さん:そうですね。我々には『革新と伝統』というフィロソフィーがあります。これまで積み 重ねてきた百年を超える歴史を誇る埼玉サッカーをはじめ、浦和レッズの歴史や文化をリスペクトしつつ、変化する時代にも浦和レッズの本質を社会や地域に提供し続けるため、変わることを恐れない価値観を示したものです。この部分においても、伝統的なテーラードスーツのルールを守り、手間暇かけた作りを継承しながらも、現代のビジネスシーンに向けた革新的な機能性や多様性を追求している、麻布テーラーさんのフィロソフィーに通ずるものがあるのではないかとも思っています。

つまり伝統を継承しつつ、新たなチャレンジに取り組む姿勢ということですね。

戸苅さん:そうです。ただ、我々は変化のスピードが非常に早い今の時代に求められるイノベーティブな姿勢をあえて頭に据えて、『革新と伝統』という考え方をしています。

スーツに身を包み、強さや自信を纏うという経験は、 サッカー選手に限らず男性なら誰もが思い当たるのではないかと思います。 実際、パーフェクトに仕立てられたスーツを着た選手は、より男らしく映リますね。

戸苅さん:選手が勝負中に武装する服がユニフォームだとするならば、その勝負に向けて、高ぶる心を静かに沈めてくれる服がスーツだと思っています。そんな私にとって、スーツは“心静服”とでも言いますか、それを纏うことで心を清らかに沈めてくれるものなのです。

自分の気持ちを高めて行くための勝負服がスーツになるのだと思います。

選手たちがスーツを着用するのはどんなシーンになるのでしょうか?

戸苅さん:ホームゲームではジャージで移動してしまいますが、アウェーでの試合の前後の移動時にスーツを着用しています。また、セレモニーやスポンサー企業をお呼びした決起集会などで着用することが多いかと思います。サッカー選手にはお洒落好きが多くて、特にオーダーメイドですから、選手それぞれが自分好みにアレンジを加えて、周囲とは違ったオリジナリティを楽しんでいるようです。プレーで自分を磨くように、お洒落に関しても、とことん自分を磨いて欲しいと思っています。

プレーもお洒落もオリジナリティは大切ですね。 浦和レッズの選手たちにとって、 移動時のスーツはどのような意味を持つのでしょうか?

戸苅さん:選手たちにとって、ピッチ上での勝負服がユニフォームになるわけですが、試合に向けて自分の気持ちを高めて行くための勝負服がスーツになるのだと思います。麻布テーラーのオーダースーツを羽織ることで、自分を高みに押し上げてくれる独特の高揚感が味わえる、そういった意味があるように思います。

なるほど。スーツ発祥の地、英国では、仕立て服の総称を「メイド トゥー メジャー」と呼び、完璧にフィットしたテーラーメイドの服で装うことこそが紳士の条件とされています。勝負の時こそ、まさにそんな凛々しいスーツで望みたいものですね。

戸苅さん:いかに身体にフィットしたジャストサイズのスーツを選べるかで、見た目や見栄えはもちろんのこと、相手に与える印象も変わるはずです。スタイリッシュであればあるほど、ビジネスマンでいう“仕事ができる印象”になりますからね。スーツが持つ力を最大限に引き出せるように、自分自身をあらゆる面から常に磨いておくこと。麻布テーラーさんのスーツには、そんな気持ちを後押ししてくれるような不思議な力が宿っているように思います。


戸苅 淳 さん浦和レッドダイヤモンズ / フットボール本部 本部長

1968年5月24日生まれ 現役時代のポジションはディフェンダー。 浦和南高校から筑波大学を経て、1992年に浦和レッズ加入。 1993年に現役引退。引退後は、浦和レッズで27年間営業部などでフロント業務に従事。 2020年からは新設のフットボール本部の本部長に就任。事業的な視点から、トップチーム・アカデミー部門の責任者として戦略的なマネジメントを行う。