「オーダー服もひとつのサステナブル」
目下のファッション産業において、世界規模の共通課題になっているのが「サステナブル」への取り組み。とりわけ、生産と消費に関わる環境負荷の低減は非常に大きな目標ですが、日本の繊維業界でいち早くその重要性に気づき、今や世界から注目される存在となった人物が岩元美智彦さんです。
「繊維商社に勤めていた時代、ペットボトルから再生したシャツを持って色々な場所を回り、リサイクルを促進するという仕事を担当していました。実際に話をすると、皆さんリサイクルの重要性をよく理解していただき、活動の手応えを感じていたのですが、工場から排出される繊維ごみに対し会社として直接関われないという現実にもどかしさも感じていました。ならば、自分で会社を興して繊維リサイクルに挑戦したい。そんな思いが日本環境設計の原点です」
同社は不要になった服のポリエステル繊維に独自の処理を施し、“服から服”の平行リサイクルを実現する技術を日本で初めて確立。現在、その再生素材を多くのブランドが採用するほか、オリジナルのファッションブランド「BRING」も展開しています。
「サステナブルという言葉すら浸透していなかった創業から14年。今やアパレル業界のリサイクル意識は大きく進歩し、海外の大手ブランドが再生素材や再生可能な素材を服作りの主流にしていくと表明するまでになりました。
そんな試みを、買い手が魅力的に感じる服作りにどう落とし込むか。それが今後の課題だと思います。純粋に“着たい”と思って買った服が、実はサステナブルな服だった、という形が理想ですね」
昨年は「SUITS OF THE YEAR」にも輝いた岩元さんですが、時にはカジュアルな服装でも仕事しているとか。その使い分けはどのようにしているのでしょうか?
「やはり“ここぞ”という場面ではスーツを着るようにしています。カジュアルだからといって気合が入っていないわけではありませんが(笑)。特にターニングポイントになりそうな打ち合わせだったり、多くの方の前でお話をさせていただくときなどは、スーツの持つパワーがとても頼りになりますね」