銀座sixスタッフ注文の新作タキシード
1~2年前から欲しいな欲しいなぁーと、衷心よりボヤき倒してきたタキシード。
(コチラは店頭サンプルです)
中々踏ん切りをつける機会に恵まれず先延ばしにしておりましたが、今シーズン程、ありとあらゆる都合がガッッッチリと噛み合ったタイミングは無いので「ここぞ!」とばかりに誂えてみました。
Grand Marquis Vintage Classics #94324
Jacket order price ¥37,000+税~
Tuxedo Jacket Option Price ¥12,000+税~
さり気無い赤のオーバーペーン(窓枠型のチェック)がスパイシーでキュートです。
その生地でタキシード。私なりの解釈でこうしました。
(その日脱ぎたてほやほや感は御愛嬌)
このチェックにピークドラペル(後述)はバキバキ過ぎるかなぁ、とショールカラー(ヘチマ型襟)にて中和。「ディナージャケット(晩メシ上着?)」と呼ばれていた頃にはこちらの方が主流だったみたいですよ。ガウンを連想させる、柔和でくつろぎのある印象です。
こちらがピークドラペル(剣襟)ですね。威厳や格式、緊張感が漂います。まぁ、カタチだけで申せばこっちの方が好きなんですけどね。
当然、こういった遊びゴコロ皆無の「どこへやっても恥をかかぬ」基本的フォーマルスーツも喜んで承ります。
以下、「スーツとタキシードって何が違うんですか?」と多分何万人もが抱いているであろう、スーツとの違いについて。
これらが全てではありませんが、上着のメインどころはこんなところでしょうか(詳しくは店頭スタッフまで)。
ドレスウェアらしく水平両玉黒サテンポケット仕付留め。襟のサテン地と揃えます。
慶事モノは「拝みボタン(太鼓ボタン/リンクボタン)」と言って、
合掌型に留めるのがポピュラー。キリスト教圏発祥の衣服を仏教風に換言された表現技法が何ともひねくれてて好きです。
礼服で戦には出るまいと、馬乗り(センターベント)もサーベル抜刀(サイドベンツ)も不要でノーベント。屋内着であるドレスウェアはこれがそもそもです。
ビジネススーツは「戦闘服」的位置付けからか概ねベント付きですが。あらゆるディティールには機能や歴史的背景から来たであろう理由がふんだんにあります。私もまだまだ知らないことだらけ…なんだろうなぁ。生意気を言えば、知れば知るほどわからないことは増えます。
サテン地の包みボタン。スーツの生地での包みボタンも可、です。ただサテン地を用いた方が個人的にはタキシードならではって感じで好みです(今現在は!すぐ変わるかもしれません)。
通常は袖ボタンを重ねずに並び型を推奨致しますが、生地で遊んでいる分、私はココも遊び散らかして5つボタンの重ね式に。問答無用で本切羽(¥3,000+税~)。※2個目のボタンははとれてるんじゃない、外して!いるんです(理由は店頭にて)
ここからはジャケット外ですが、
胸ポケットにチーフ(¥3,800+税)を入れて華やぎを、
カマーバンド(¥12,000+税)でスラックスの穿き口やサスペンダーを隠しましょう。元々は中近東(トルコあたりでしょうか?)の飾り帯をルーツとするのが(ほぼ確定で)有力みたいですが、私はベストを着ていたイギリス人が、植民地インドで見かけた腹巻(アタマ版のターバン的?なものでしょうか)から着想を得た説が好きです。宗教を越えたハイブリッドな雰囲気が。…まぁ、文化や宗教的にはそもそもトルコがそういう遊撃的ハイブリッドポジションなんでしょうか。
織りヒダは上向きに巻いて下さい。ここにコインやオペラのチケットを入れていたみたいですよ。
せっかくなので裏地や格子柄と合わせて赤いカフスをセッティング致しました。
(ついでに襟裏も!)
閑話休題。本来はオニキスや黒蝶貝です(¥3,800+税~)。
メモリアルに刻印(本体¥3,800+税/刻印¥1,500+税)も気分が上がります。選んだものがスグに手に入らない焦らし効果で喜びもひとしお(納期約3~4週間)。
コーディネートに関しましては、もうここまで来たら直球も良し(後述のウィングカラーがポピュラーですが、レギュラーカラーでその後のビジネスシャツとしても兼用「可」なスタイルが昨今のトレンドでしょうか、ファッション業界もこぞってエコ、サステナブル、ハイブリッドの時代です)、
変化球も良し(ディティールはウィングカラーにピンタックと、いかにも知ってる風にコテコテにして生地で遊ぶ、というのもオーダーならではのたまらない面白さです)、
巡り合わせがあれば柄合わせも良し(?)
モードに黒バスケットタイも良し(中のシャツは全て一緒なので、活用は自在です)、
ジャケット1つだけでも中身を変えれば、印象やジャンルは見違えますし何なら中身は白シャツのままでも…
下の黒スラックスを活かして…
セットアップは当然…、
⇒セパレートにお色直しもできます。
少ぉし背伸びしたいカジュアルディナーには…
ノータイにジーンズでも使い回しできます。
(むしろ私はこっち系コーデが目当てで拵えました)
当然、「礼」服である以上、基本に忠実なドレスマナー(相手への思い遣り)や格式を重んじた装いを推奨は致しますが、そこを認識した上で時代背景や着用シーンを想定しながら遊び心をふんだんに放り込んだ本当の本当に、みなさんが着て行きたいドレスを誂えるのがサステナブルだなぁ、とこの一着を通じて心底実感致しました。