コットンスーツの着回し

夏のスーツやジャケット、スラックスのファブリックの代表的なものとしてコットンが浮かび上がります。ここでコットンの歴史について少し触れておきます。

「コットン」という言葉は、アラビア語の「Katun」(征服の地)に由来しているそうです。すでに紀元前2000年以来からインドやペルーの地で利用されていましたが、14世紀にヨーロッパ中に広まりました。紡ぐのも織るのも難しい輸入品とされてきた綿は、長い間、絹にも匹敵する織物として珍重されてきました。日が経つにつれ次第に染め色がはっきりしくる極薄のインド綿の布地は、ヨーロッパ人では有名でした。アメリカ大陸に上陸したヨーロッパ人たちは、西インド諸島、メキシコ、ペルー、ブラジルで、綿が栽培・加工されていることを知りました。それらは土着の品種を原種としており、旧大陸のものとは異なっていました。

18世紀に開発された新しい技術により、集中的な栽培が可能となり、特にアメリカ南部では「ジン」と呼ばれる綿繰り機が発明されました。これによって、生産コストは大幅に引き下げられ、大西洋からミシシッピ川流域にかけて広がる諸州に綿花栽培が普及する上で大きなはずみとなりました。現在、綿花栽培は世界中の熱帯や温帯地域にも広がりを見せており、そうした地域では、生産の集中化と拡大が追求されています。

木綿繊維にも多くの種類があり、亜熱帯地を最良とし熱帯地にも多く産出されます。現在の主産地はアメリカ、インド、エジプト、ペルー、ブラジル、中国、アフリカ南部、北部などです。世界における最良質といわれるものは、アメリカの東南部海岸の南カロライナ、ゼオルジア沿岸ならびにフロリダ州から多量に産出されるシーアイランドコットンとされています。その繊維は細く、長く柔軟で強度に富み、色は純白で光沢を有し、最上質の綿糸を紡績するのに適しています。

こうしたコットン繊維の性質はウールと比べ吸湿性と速乾性に優れ、染色性に優れているのが特徴です。反対にウールよりも弾力性に乏しく織物にした場合、伸縮性が少ないこととそれによってシワの回復力に乏しいデメリットもあります。そこでこの伸縮性を補うために、ポリウレタン繊維を使ってストレッチ性を出して運動性を高めたファブリックがスーツやジャケット、スラックスに使用される事があります。

麻布テーラーでもポリウレタン入りストレッチ入りコットンのコレクションを展開しています。TROUSERS BOOKに編集されています。

このコレクションは全てポリウレタン混のストレッチコットンです。無地のバリエーションからスーツにも最適なピンストライプまで揃っています。

これらコットンファブリックのもう一つの利点は着回しの汎用性です。素材が持つナチュラルな脱力感によってジャケット、スラックス、ベストなど単品アイテムでの着用が違和感なく様になってしまいます。勿論、麻布テーラーでは、ジャケット、スラックス、ベストの単品オーダーが可能です。

因みに、これらのオーダー価格は、

■シングルジャケットオーダー価格  ¥31,000+税~

■スラックスオーダー価格      ¥18,000+税~

■シングルオーダーベスト価格    ¥18,000+税~

■ショートパンツオーダー価格    ¥18,000+税~

■シングル3Pスーツ価格      ¥62,000+税~

■シングルスーツ価格               ¥49,000+税~

これらの着回しは2015 Spring & Summer麻布テーラーの展示会でもメインの提案でした。

3Pスーツをジャケット、ベスト、スラックスをそれぞれ単品で着用するもよし、勿論、ジャケット、パンツ、スラックスの単品オーダーも可能。コットンだからこそ様になる、これからのシーズンのクールビズ・スタイリングの参考にして頂ければと思います。ショートパンツでのビジネスは無いかと思いますが!(汗)

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