ミラノ仕事の理想と現実。#2

本日は、前回の予告通りミラノ仕事の「理想」編をお送りします。

ファッションウィークというと、聞きなれない方が多いと思いますが、一般的に言うファッションショーやコレクションのことを指します。約1週間 にわたって開催されるので、そのように呼ばれています。最も有名なのは、ファッションの都と呼ばれる世界4都市(ミラノ、パリ、ニューヨーク、ロンドン)で開催されるファッションウィークです。その中で、先日、私が見たのがミラノのファションウィークです。

では、何をする場なのか?それは、デザイナーやブランドがランウェイと呼ばれるステージで新作を発表する場としています。これを受けてバイヤーが買い付けブランドや品目の選定や、メディアが最新の流行に関する情報を入手する機会と利用しています。

しかし、麻布テーラーと関係あるの?と思われる方が大半だと思います。実際、日本のメディアの方々とお会いして、フロントロウに座っている私を見て「あれ、上月さん、転職したの?」とマジ顔で言われる事もあるぐらいですから当然です(苦笑)。

デザイナーのクリエーティビティーこそが真骨頂のデザイナーズブランド。しかし、麻布テーラーは、デザイナーがお客様であり、そのお手伝いをする立場として我々が存在します。一人のデザイナーを崇拝して、そのデザイナーが推奨する洋服をそのまま販売する立場ではありません。我々は、千差万別のデザイナーであるお客様に適応できる引き出しの多さが必要になります。よって、麻布テーラーのクリエーティブディレクターとして、最新の流行に関する情報を入手する機会と利用しています。その情報の一部をMD(商品計画)に落とし込むことや、店舗スタッフの教育としても利用します。麻布テーラーは従来のテーラーとは違い、ビジネスウェアのセレクトショップ的に言っていただけるのは、手前味噌ながらこんなこともしているからだと自負しています。

このように、少し遠回りですが、全く関係ないとも言えないのです。しかし、仕事とはいえ、招待客しか入場できない非現実空間であるランウェイは、ファションビジネスの「理想」とも思えますし、ピッティウオモとは全く違うテンションの上がり方です(笑)。

相変わらず前置きが長いですが、私が見たブランド(「LES HOMMES」「PHLIPP PLEIN」「N◦21」「BOGLIOLI」「VIVIENNE WESTWOOD」「MSGM」「CANALI」「ERMANNO SCERVINO」)で特に印象に残ったブランドをお伝えしようと思います。

まずは、ミラノメンズコレクションで初めてショー形式で見せたボリオリ。ダヴィデマレッロがデザインするファーストコレクションが話題になりました。私は特にコートコレクションが気に入りました。写真のファーをあしらうディテールは、ピッティウオモ出店ブランドでも多く見られたコートのトレンドです。実は、麻布でもあるブランドでファー付きコートを仕込んだばかり。久々に製品も買い付けたいボリオリでした。

次はヌメロヴェントゥーノです。カーキやブラウンをベースにしたミリタリーを背景にしたユーティリティースタイルです。エモーショナルなデザインは感じませんが、実はミラノのコレクションではこのようなミリタリーなユーティリティースタイルがトレンドとなっていました。カーキやブラウンはビジネスウェアにも取り入れたい気分です。

そして、カナーリ。創業が仕立屋という紳士服ブランドだけに、麻布テーラーには近いリアリティを持てるブランドです。しかし、私は服よりバッグの方が気になりました。レザーのバックパックはスーツスタイルでの定着度は増しそうです。新たに気になるのが小ぶりなレザーブリーフバッグです。クラッチバッグの次の流行になりそうな気配すら感じました。

最後は大御所、ヴィヴィアンウエストウッド・マンです。テーマは「明確にしよう(Be Specific)」。言うことはありません、明確なのはヴィヴィアンさんがお元気なことですから(笑)。

番外編として、フィリッププレインです。ホテルに届いた招待状がスゴイ!豪華なケースを開けると時計が入っているだけではなく、蓋にモニターが内蔵されれいて、コレクションのイメージ映像が流れ出しました。もちろん、ショーも驚きの演出の連続でした!!この時計、限られたゲストだけが頂ける品らしいです(驚)。

貴重なプラチナチケットを沢山ご手配いただいたYさん有難うございました。ちなみに、Yさんは私と神谷くんがピッティウオモでスナップされているGQマガジンUK版の何処かに登場しています。誰でしょう??内輪ネタですみません(苦笑)。

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