ビジネスの装いセミナー。

先日、ある大手製薬会社から「ビジネスの装いセミナー」というお題目で講師を依頼されたので講演に行ってきました。正確には社長依頼だったのですが、社長命令で振られた訳です(汗)。日時を変えての男性向けと女性向けの二講演で、女性は社長、男性は私が担当しました。私の経験値からして、女性は好きなだけで女性服の知識が乏しいので、専門の男性服を譲ってもらいました(苦笑)。

社内研修やファションイベント等で大勢の人前で話す経験はありましたが、社外、しかも有名大手企業での講師ということになれば、緊張しない訳がありません。社内であれば、資料だけ作成して台本なしに自由に話す形式をとっているのですが、事前に講演内容のすり合わせをしながら、自分で台本も書きました。

話すということはとても勉強になります。知識と考えがなければ話せません。これを機会に様々な服飾文献を見直し、今一度、現代のドレスコードについて考え直しました。

そして、約50分の講演は無事に終了。何せ講演を本業とはしていない素人なので、終始緊張していましたが、メモを取りながら真剣に聞いていただく方も多く一安心。とても、良い経験をさせていただきました。

講演後に総務の方がこの模様を社内報に掲載するというので、写真を撮らせてくださいと言われたのが、安堵の表情をしたこの1枚です。

一見するとネイビーの無地に見えますが、シャドーグレンチェックのべステッドスーツです。Vゾーンは、これまた遠目に見ると無地に見えるネクタイは同色でのジャガード模様入り、シャツもヘアラインのブルーストライプが入っています。デザインの変化はタブカラー&ダブルカフスぐらいにしました。

実は、当日の私のコーディネートも麻布テーラーが考える現代におけるドレスコードを表現していました。

イギリス人の好む表現の1つに、控えめ表現を意味するUnderstatement(アンダーステイトメント)が挙げられます。何かを表現する際、アメリカ人などは大袈裟に言うOverstatement(オーバーステートメント)の傾向があるようですが、イギリス人は控えめな表現をすることで、かえって効果的な印象を与える傾向があります。

洋服も同じことです。ドレスコードというルールを守りながらパーソナリティーという個性を出すスタイルこそ、アンダーステイトメントの精神が基礎になります。

日本においても自分のスタイルや自分流儀を作って行く人、つまり本物の個性を仕事においても求められています。ドレスコードというルールとパーソナリティーという個性のハーモニーこそがビジネスライフにおける現代のドレスコードになると思います。

誠実な印象と清潔感をもつと言われるネイビーコーディネートですが、控えめな個性表現として、全て柄が入っていながら無地に見えるシャドーパターンにしたところです。普段はオーバーステートメントの代名詞のような私ですが、本当はドレスコードをとても意識しています(笑)。

ドレスコードと聞くと、冠婚葬祭をイメージして構えてしまいますが、実は、社内(オフィスライフ、デスクワーク、会議など)社外(営業、訪問、打合せなど)冠婚葬祭(周年行事、記念式典、葬式など)トラベル(旅行、出張など)交際・接待(スポーツ、レストランなど)など私たちが何気にしているビジネスシーンにも存在しています。

そのようなルール中で、個性という名の流行やオシャレを取り入れる、それこそが麻布テーラーが目指すスタイルであります。

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