英国伝統の・・・

英国伝統の・・・

麻布テーラー表参道店のブログをご覧の皆様こんにちは。

塩川です。
今回は久しぶりの投稿です。

令和2年も早い事で半年以上が過ぎましたね。しかしながら最近は暗いニュースばかりです、この2020年は後に我々アパレル業界でも歴史に残る年になることでしょう。ここで少し『服の歴史について触れて見たいと思います。

皆様は人類最古の衣類の存在が如何なるものだったかご存知でしょうか?
聖書によるとアダムとイブが禁断の果実を口にした結果、無垢は失われ、裸を恥ずかしいと感じるようになりイチジクの葉で隠すようになったとか。

別の解釈では、アルプスのエッツ渓谷で発見された、「アイスマン」と呼ばれる約5300年前のミイラには、動物の毛皮の上着やコート、帽子、革で編んだマント、内側に草を詰めた皮製の靴といった、明らかに防寒のための衣服を身に着けていたそうです。日本の衣服として初めて「魏志」倭人伝に登場する「貫頭衣」は、ほとんどの作業を夏の暑い時期に行う稲作において、背中を太陽から護る役割を果たしたと考えられています。毛皮を「脱ぎ捨てた」人類にとって服とは、まず、自然環境に適応するための道具だったといえます。これらのことから人類最初期の衣服が身を護るためのもであることは恐らく間違いないといいます。

一方で、衣服は防御服にとどまらず、早くから着る人の「属性」を表現していた時代も存在します。世界最古とされている文明のひとつメソポタミア、古バビロニア帝国の人々は一枚の大きな布を体に巻き付けて着用したそうですが、その巻きつけ方は男女で異なっていたそうです。王と民の衣服の違いは様々な文化で見られます。9世紀の初めにはカール大帝が身分ごとの衣服を規定した最初の「衣服条例」を交付しています。「ワインレッドの衣服とアーミンの毛皮は王しか着ることができず、レースや絹は貴族と裕福な市民に着用は許されていましたが、奉公人は着てはならない」等としたこの条例によって、衣服は人々の出自や社会階層を示す記号の役割を果たすようになった歴史があります。

そんな衣服の機能性からの乖離は、近世ヨーロッパの貴族社会においてより顕著なものとなりました。その代表例としては『コルセット』です。ほっそりとしたウエストをつくるは当時の貴族女性の必需品であり、中には完璧なボディラインを実現するために鉄のコルセットまでつくられていたそうです。そしてコルセットと共に女性たちのファッションに欠かせなかったのが、ドレスの下に着用してスカートの形を保つアンダースカートです。18世紀に流行し、かの有名なマリー・アントワネットも着用した「パニエ」。スカートを横に広げるために籐や柳の茎、クジラのヒゲなどを輪にして重ねたもので、その上に腕をもたせかけることができたため「肘つきのパニエ」と呼ばれていました。
こうして衣服は身を守る防御服(機能性服)から如何に見た目を美しく見せるための思想へと時代は変化しそして繰り返されています。

これまで大流行した、如何にシルエットを美しく見せるかに拘った細いスーツは、やがて細すぎるか故に動きづらいことからストレッチを効かせたジャージスーツがトレンドとなり、そして最近では英国スーツの復刻、細いシルエットは緩和され始め、次の秋冬から本格的にワイドラペルにタック入りパンツ等が注目され麻布テーラーでもそれに伴ったサンプルを作成しております。

話は一転しますが、英国の伝統といえば『フライフィッシング』
ブラッド・ピット主演映画の『リバー・ランズ・スルー・イット』で有名です。

私も父の影響で小さい頃から渓流でフライフィッシングを趣味としてきました。
起源はイギリスの貴族で、現在も格調高い紳士のスポーツとして楽しまれています。日本では1902年(明治35年)、栃木県日光市の湯川と湯ノ湖に、英国商人トーマス・グラバーがカワマスを放流して楽しんだことが始まりとされています。とても奥が深く、水面上を飛び回る昆虫を魚が捕食することからフライ(毛針)と呼ばれる疑似餌を水面に浮かせて魚釣りをします。

特に『自然観察』ではフライフィッシングの哲学ともされ、その所以は、釣りをする時期の現地に棲む昆虫を観察して、魚が捕食していると思われる餌に似たフライを選ばなければ釣果につながらないこともあるからです。

そして何よりも奥深き渓谷、雄大にそびえ立つ山々等は都会の騒めきを忘れさせてくれ、聞こえるのは川のせせらぎと、そして降り注ぐマイナスイオン。ロケーションは最高です!

前回、鬼怒川へ足を運びましたが今回は都内の多摩川上流部、奥多摩にある日原川へ行って参りました。私は九州出身で、九州にも良い渓谷はありますが日本で、しかも東京都内にここまで美しい渓谷があるのだと圧倒されました。
最後に日原鍾乳洞にもいきましたので写真をのせておきます。

今回は英国の歴史について触れて見ました。衣服の歴史は繰り返しトレンドが変化していきます。一方でフライフィッシングのような変わらない伝統もございます。ファッションで変化するトレンドを楽しみ、そして年を重ねても出来る趣味を見つけ、変わらぬ伝統の素晴らしさを親しむ、それって今の時代だからこそ必要なことではないかと思いませんか?

麻布テーラー 表参道店 塩川

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