シャツのイイ話。

昨日、同僚の山下くんと播州織りで有名な兵庫県の西脇市に行ってきました。今回は今年の秋冬シーズンのシャツ生地仕込みのために来たのですが、私のブログでは何回かご紹介したことがあるので、ご存知の方は播州織りよりも西脇ラーメンの方が印象に残っているかも知れませんが(笑)。

その播州織りを説明するには、まず基本情報をお話ししなくてはなりません。まず、織物には先染織物と後染織物があります。読んで字のごとく、いろいろな色に染められた糸を使って織ったもので、チェックやストライプなど我々が目にするドレスシャツ生地の多くが先染織物です。また、織ったあとから生地を染めるのが後染織物です。レディスでよく見かける花柄や幾何模様などが後染織物になります。

播州織は、兵庫県西脇市を中心とした地域で生産される綿織物、先染めによる平織りが有名で、主にシャツ地として利用されています。かつて、欧米はもちろん、中東やアフリカにまで輸出されていましたが、近年は中国からの廉価品の流入で生産量は減少しているようです。しかし、日本国内で高品質なシャツ生地を作れる数少ない産地のひとつとして播州織りは君臨しつづけています。

今回ご紹介するは、この兵庫県西脇市で生産されたパターンオーダーシャツ生地です。

麻布テーラーのパターンオーダーシャツは、¥6,930からお仕立てすることが出来るのですが、今シーズンの特におすすめなのが西脇市で作られた¥9,345の100番手双糸のドビー柄シリーズです。

まず、「番手」とは生地のもととなる糸の太さをあらわす数字のことで、番手が大きくなるほど糸は細くなり、生地がやわらかく薄くなるため、風合いや肌ざわりのいい生地ができます。また、番手が小さい糸で織りあげた生地には、透けにくい、丈夫といった魅力があります。

そしてもうひとつ、シャツ生地に使用する糸には、1本の糸を使った「単糸」と、 2本の糸をより合わせて1本の糸にした「双糸」があります。より合わせることで丈夫になるため、番手の大きい細い糸(80番手以上)は双糸にすることが多いです。 また、双糸使いの生地は、同じ番手の単糸使いの生地よりも肌ざわりがよくなります。

ということで、こちらの生地のクォリティの高さは解っていただけると思うのですが、難点は価格が高いことです。でも麻布テーラーはオーダーで¥9,345?!それには理由があります。価格を抑えるために、今回のように産地に直接入ること。そして、沢山の生地を同時に生産することであります。同時に沢山生産するためには、ドビー柄を縦に共通するなど様々なテクニックがあるのですが、これを話すとあまりにも専門的になりすぎて同業の方以外は読んでいただけなくなるので止めときます(笑)。

とにかく、このような努力により価値ある生地が誕生いたしました。原料の高騰にも伴い、この生地クォリティでこの価格でのご提供は、おそらく今シーズン限りだと思います。これからのクールビズシーズンに向けて、是非ともおすすめしたいコレクションです。

そして、オチはこれです。

やっぱり西脇ラーメン(笑)。

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