裏地について考える。

突然ですが、「ベンベルグ裏地」という名前を聞いたことはありますか?旭化成せんいの登録商標で、一般繊維名は「キュプラ」と呼ばれています。麻布テーラーでもお馴染みの高級裏地です。

そのベンベルグ裏地を使用しているイタリアのアパレル来日レセプションにご招待いただいたので、副社長と会場であるグランドハイアットへ行って来ました。

イタリア来日メンバーは、ZEGNA・CANALI・ARMANI・HERNO・VERSACE・LARDINI等の錚々たるメンズアパレル16社。日本側もテレビや新聞で目にする有名百貨店やアパレルの社長さんが多く、私のような者が来る場所では無かった感がありました(苦笑)。

でも、乾杯してしまえばこっちのもの。何時ものペースで何処でも楽しめます(笑)。6月のピッティウオモで伺った「RAVAZZOLO」のオーナーとも再会して記念撮影!

そのレセプションの展示スペースで凄い代物を発見しました。1950年代に作られた「ベンベルグ」のジャガード裏地の付いたジャケットです。半世紀も前に作られたものとは思えない、表地にも見えるほどのデザインクォリティです。

ここからが本題です。「ベンベルグ裏地」、キュプラ裏地は高級裏地とは知っていますが、どのような特徴があるのか意外と知られていないように思えます。

原料はコットン、そのコットンの種の周りに生えているうぶ毛のなかの不純物を取り除き、ピュアな植物繊維素にして、糸に生まれ変わらせます。自然の植物を原料としながら、人間の技術力を加えることで生まれた繊維です。

特性は、ふれた時に感じる、表面のすべすべとしたなめらかさ。すべりが良いから体の動きがスムーズです。そして、べたつきやムレを抑えることができます。人は一日過ごすだけで、およそ600cc(コップ約4杯分)の水分をカラダから放出します。深呼吸をする繊維は湿気をすばやく吸いとり、空気中へとはきだします。また、衣服の中を快適な温度に調整して、夏はひんやりと冬は暖かく、静電気まで抑えることができます。

こんな万能裏地は他にありません。ですから、このような欧州の高級ブランドのスーツに採用されるのです。

麻布テーラーでは「AK1800」が目印です。オプション対象になっているので、プラス2,500円かかりますが、この機能性を考えれば決して高いものではないことを分かっていただけると思います。

裏地は目立たない存在ですが、表地の風合いを保って、シルエットを美しくする要。皆様、裏地もこだわって選んでみてください。もちろん、私のスーツはいつも「AK1800」です!

そんな素晴らしい裏地を製作する旭化成せんい、私は「なるほど・ザ・ワールド」のCMのイメージが離れません(笑)。私と同世代の人は同じ意見の方も多いのでは?!

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私のこだわり。旅にまつわるモノ。

スーツは楽しい!

今週は麻布テーラークレストでお会いしましょう!?