今、絶対推しの生地教えます!#1
先日の私のブログにも書きましたが、スーツもジーンズもパターンだけではなく素材が重要です。MEN’S EX最新号には、麻布テーラー別注のHEAVEN TWO(ヘヴントゥ)のジーンズだけではなく、オーダースーツに関する取材も受けていました。
「スーツの印象は生地で決まる!」という特集の中で「今、絶対推しの生地教えてください!」との内容でした。
麻布テーラーには、常時約3,000種類の生地を取り揃えています。ヨーロッパの一流素材や国内有力メーカーの厳選素材。また、麻布テーラーが監修した、英国・伊国・日本の有力メーカーと取組んだ素材など様々です。
なぜこれほどの生地を揃えているのか?それは、サイズやシルエットやディテール、コーディネーションなどの前に、スーツを中心としたテーラードスタイルの印象は生地で決まると思っているからです。そして、我々はお客様が主役という考えが根底にあるので、お客様の様々なライフスタイルに合わせたご提案をさせていただくために、これだけの生地数を揃えています。店舗という限られたスペースで沢山の生地を用意するために、欧州のテーラー同様にバンチブックという生地見本帳を使用しています。デパートで良く見るスーツ生地を一着分カットしているものを、肩にかけながらご提案するような形式ではありません。
もちろん、大きな生地でないのでイメージするのが難しいという方もいらっしゃいますが、麻布テーラーではシーズン毎におすすめの生地の製品サンプルを多数用意しています。
では、いよいよ本題です。麻布テーラーのディレクターとして今シーズンに皆様におすすめしたい生地を数回にわたってご紹介したいと思います。もちろん、麻布テーラーはお客様が主役なので、押しつけではありません(笑)。国内外のコレクションを見たトレンド視点を頑張るビジネスマンを応援する麻布テーラーというフィルターを通したセレクトにします。
「ホーランド&シェリー プリンス」
1836年ロンドン、ボンド ストリートにて創業された英国高級服地マーチャントです。マーチャントとは毛織物商社のことなのですが、マーチャントでありながら、英国国外に直営の織物工場を有しながら英国の伝統的なオリジナルファブリックを生産しています。
また、バンチブックを用いた販売方法も世界初として知られ、現在でも常時3,000パターンものコレクションを販売しているようです。
その中から、私がリコメンドするのは、今期初登場した「Prince(プリンス)」とうコレクションです。英国素材はここからエントリーするのが私のおすすめです!
理由①「ウール本来の機能を最大限に生かした純粋な機能素材。」
古くから、一年中、雨の多い英国に対応するため、寒暖差の激しい地域で牧羊することで、ウール独自の撥水性・呼吸性を高めたこだわりの原毛を使用しています。また、ウール本来の機能性を引き出すため、64番手双糸をタテヨコに使用する事で、通気性とシワの回復力を向上させています。英国素材は夏に不向きだと言われていますが、日本の夏にも対応できる通気性と湿度の変化に強い仕立て映えを兼ね備えたコレクションです。
理由②「バンカーズパターンが豊富。」
世界金融の中心地のひとつであるロンドンのCITYの銀行マン(バンカー)が好んで着たことから バンカーズストライプという名が有名です。バンカーズパターンとは私の造語ですが、銀行マンが信頼を勝ち取るための無地はもちろんのこと、ストライプやチェックなど、ビジネスシーンで間違いのない基本デザインが多いコレクションであることです。趣味性は低いですが、仕事でこれがあれば間違いないという安心が生まれるラインナップです。
理由③「英国生産でありなが価値あるプライス。」
ホーランド&シェリーは高級・高価格マーチャントとして有名ですが、このプリンスというコレクションは、麻布テーラーではオーダースーツ価格を¥79,000+税で設定しています。マーチャントは様々な国のミル(毛織物工場)に生産を依頼しているので、純粋な英国ミルを使用した英国生地でこの価格は価値があると思います。
ちなみに、私が作るならこの生地です。ベースカラーと同系色の意匠糸を使用しています。このように、一見すると無地ライクに見えるようなデザインが今年の大きなトレンドになります。無地のようにコーディネートができるので、反対にVゾーン(シャツとネクタイ)は上の写真のように英国調の強めのパターンが気分です(ちなみに、上の写真は無地です)。
最後に、職種柄、このようなメディア取材のお話しを度々頂きます。麻布テーラーを皆様に知っていただく機会が増えるので喜ばしいことですが、紙面で自分の姿を目にすると、自分の老を実感します。まだ43歳なのに疲れているな。。。(苦笑)