2019春夏シーズンのトレンドを整理。
ヨーロッパ帰国後、一か月が経過しようとしていますが、忙しくて今シーズンの自分のスーツをオーダーするのを忘れていました。私の場合は、かなり特殊な仕事をしているので、自分の装いは一番後回しになってしまいます。昨年の2月の服地見本市のミラノウニカで春夏服地を見て、昨年の6月に既製品見本市のピッティウオモで様々なブランドのスタイリングを見て、自身でも麻布テーラーでピッティウオモ出店ブランドと同スケジュールで新商品を企画したりしているので、もう春夏シーズンが終わり秋冬シーズンの頭になっています。もう何が何だか整理しないと分かりません(苦笑)。何がトレンドだったか?何がワードローブに不足していたのか?どんなシーンに着ていきたいのか?
ということで、自分自身の頭の整理を含めて、トレンド解説を含めながら、麻布テーラーのおすすめスタイルを数回に亘ってお届けいたします。
「深い色合いと素材感でシーズンレスの流れ」
今年の春夏シーズンは茶系をはじめ、秋冬さながらの深い色合いがキーカラーとして浮上しています。昨年に引き続き、1920年から1930年代の欧米列強の貴族が、アジアやアフリカなどの植民地で過ごしたバカンスを思い描いた、サファリやミリタリーのコロニアル・スタイルが継続。シーズンごとにがらりとアイテムを変更するのではなく、ニットやレザー、アウター、ベストなど通年を通して提案するアイテムが増えたことにより、カラー使いも深い色合いが採用されています。コロニアル・スタイルを象徴する、強い陽射しを浴びて色あせたオレンジやイエロー、ボルドー、赤みがかったブラウンなど。良いものは性別も関係ないというジェンダーレスという流れだけではなく、シーズンも関係ないという深い色合いや素材感でのシーズンレスという流れもきています。我々がメインに扱うビジネスウェア視点で考えると、クールビスを筆頭にシーズンをはっきりと分ける日本では、ピッティフィーリングがリアルクロージングとリンクするのは少し難しいと個人的には思っています。
スーツでいうならば、デザインはブリテッシュ、仕立は軽く、セットアップを意識しながら、キッチリとタイドアップしてエレガントにまとめる。初夏でもベステッドスーツやダブルブレステッドなどデザインはシーズンレス、こんなイメージだと思います。
また、ビジネスシーンを想定したトレンドは、ずばり機能性。天然素材でありながら強撚糸使いでシワになりにくく、軽い仕立てでも仕立て映えがする生地。軽い仕立てにすることで、タイドアップのスーツスタイルだけではなく、ジャケットやスラックス単品使いなどが出来る、着回しの汎用性という機能はとても重要です。
このようなトレンドという視点で考えると、ミラノウニカで別注したあの素材はぴったりのイメージ。徐々に自分自身のイメージが整理できてきました(笑)。次回はその別注生地について、服地ブログ担当にバトンタッチします。私は毎週のアップも限界に近づいてきたので、HQブログは新リレー方式でお送りします!!