ドーメル社の歴史的名作生地トニック、その正統進化系！

2019.02.19

By.銀座3rd店

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麻布テーラー銀座3rd店3F

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銀座3rdブログをご覧の皆様こんにちは。マスターテーラー野間(剛)です。

ランキング形式で言うなら銀座3rd店の今シーズン初登場1位なスーツをご紹介いたします。現代のライフスタイルに適応する要素が満載のテーラードウエアですのでご期待ください。

まずはコーディネートから。

多孔性(タテ糸とヨコ糸の隙間が大きい)の織物にシルクシャンタン(節糸が特徴)タイのコンビネーション。

艶感に富んだ生地や3シーズン対応綾織り生地でのご注文は継続して好調です。今後はその反動として少し懐古趣味の伺えるテイストも顔を覗かせてくるように思います。Tonik自体が50年代60年代に一世を風靡していますし、タイのカラーリングもイエローの塩梅が20年代を意識しているようです。既製服から注文服へと消費が推移する中でお客様方の生地を見る目が徐々に養われ、紳士服市場の成熟とともにウエットな艶感からドライな艶感へとトレンドが玄人好みに変化しているのではないでしょうか。

そしてこちらに合わせるスーツのモデルとしてコンチネンタルはいかがでしょう。

主力モデルのクラシコイタリアと比較して前釦位置が低くロウウエストな分、重心が下がり落ち着きのある雰囲気に仕上がります。ベリートラペルもコンチネンタルモデルの隠れた魅力だと私は思います。ちなみにベリートラペルは下方向に湾曲した下襟のラインを指します。言葉のイメージとしてはベリー＝Belly(下腹)≒たわみという感じです。

服地はこちらのTonik Woolからセレクトしています。

Tonik Woolはドーメル社からリリースされた新作生地です。

歴史あるドーメル社はこれまで数々の名作生地を世に送り出しているわけですが、中でも二枚看板として圧倒的に有名なのがTonikとSportexです。オリジナルのTonikはヤギの毛であるモヘヤが混紡されており各テーラーさんが値打ちものとして大切にストックなさっています。現行のTonikは軽量化して現代的にアレンジを施したうえでその独特のハリを継承しています。今回ご紹介のTonik Woolは言葉どおり羊の毛であるウール100％です。

ちなみにパタゴニアはチリ・アルゼンチンにまたがる地域名で放牧が盛んな土地です。同一箇所で牧羊すると砂漠化が進んでしまいますので過放牧にならないように環境にも配慮しているようですね。ドーメル社ドーメルジャポン社は社長会長をはじめとして環境保全や慈善活動への取り組みに大変熱心で企業として本当に尊敬しています。

麻布テーラーでもロングヒットを続けるAmadeusシリーズの生地は英国織物の聖地ハダスフィールドで百年の歴史を誇るフィニッシング専業工場で最終仕上げを行っています。一世紀も前から注ぎ足して作られているホルム川の良質な水を使った独自の自然石鹸水(Hot Liquid Soap)やピートを含んだ軟水を用いたフィニッシングは生地に独特の滑り感と優雅なドレープ性をもたらしています。

上記の工程に加えてイタリア人女性のテキスタイルデザイナーさんが長年監修していることもあり、ドーメルといえば光沢感のある生地というAmadeusシリーズやiconikシリーズのイメージをお持ちの方には新鮮に映るかもしれませんが“長持ちするものが良いものだ”とする英国的な価値基準に沿ったTonikやSportexからするとこちらのTonik Woolも英国生地の正統進化だと思えます。

進化のポイントは、軽量であること、柔らかい仕立てにも対応していること、通気性があること、型崩れしにくいこと、クリースラインが消えにくいこと、ストレッチ性があること、スーツのみならずジャケットスラックスの単品仕立てにも向いていること、環境に配慮し生産者の顔が見えること、伝統的でありながら流行ともマッチしていることなどです。

英国趣味のお客様のみならず出張が多い方には特におすすめです。もちろんデイリーユースであればその現代のライフスタイルに適した性能のおかげでケアも楽々です。