WORLD TRAVELER その2

WORLD TRAVELERの中で一番ご好評を頂いております、メイドインジャパンの「CUSTOM」は日本を代表する毛織物メーカー、ニッケ(日本毛織株式会社)で生産されています。オーストラリアでの牧場の運営から紡績、製織、仕上げまで一貫した生産を行う、尾州屈指の毛織物グループです。

尾州って何処?と思われる方のために、ここで少し日本の毛織物産業の中心地、尾州について説明しておきます。

日本のかつての地方行政区分である国のひとつ尾張国(おわりのくに)は尾州とも呼ばれ、日本神話での尾張国は、ヤマト王権の領土としての様子が綴られています。尾張国の代表的神社である熱田神宮には、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した有名な記紀神話に記されている、三種の神器の一つ、草薙(くさなぎの)剣(つるぎ)(天(あまの)叢(むら)雲(くもの)剣(つるぎ))を祭っていることからも日本国形成には大きな役割を果たした地域とも言えるでしょう。

戦国時代には織田信長と豊臣秀吉といった大物武将を出し織田信長や豊臣秀吉の領土に入り、その他に、柴田勝家、加藤清正など有名な武将が尾張国の出身です。江戸幕府が樹立されると、織田、豊臣の勢力が一掃されて、新たに尾張徳川家が治める尾張藩の領土となり、その城下町たる名古屋は日本で十指に入る都会となりました。

明治維新で中央政権国家が形成されると、名古屋は明治政府による地方支配の拠点都市となり、鉄道敷設などの近代化政策が進められて行きます。その頃から尾州は、濃尾平野の肥沃な土地と木曽川の豊かな水の恩恵を受けながら繊維産業が発展し、現在では日本の毛織物生産の70%以上を占める世界でも有数の毛織物産地です。

この日本の毛織物産業の中心である尾州に生産拠点を置くニッケグループは、日本陸軍、海軍のユニフォームを手がけたという歴史をもち、それに裏付けされた伝統と革新を基に、古のアーカイブ復刻やこだわりの物作りを追及する尾州を代表する毛織物メーカーで、パリで行われるプルミエール・ヴィジョンといる大規模な素材展示会にて毎シーズン、ヨーロッパの著名デザイナーやアパレル企業から賞賛を受け、そのファブリックは世界中で販売されています。

WORLD TRAVELERの開発は麻布テーラーを運営するグループ会社の企画部門とこのNIKKE(日本毛織)との共同開発として9年前にスタート致しました。

オーダー服は、お客様と販売するスタッフとの対話から始まり、イメージを形にし、仕立てあがった服に初めて袖を通した時の感動がひとつの醍醐味になるわけですから、色柄や質感というものは非常に大事になってきます。そこで素材の質感や色柄を独自で開発する必要性があったのです。仕立て栄えを考慮するために糸番手のチョイスから糸の撚糸方法、テキスタイルデザイン、加工を含めたフィニッシング(仕上げ)まで、NIKKEの企画チームと幾度と無く研究開発、試織、試作を繰り返しました。ライフスタイルにフィットし、価格よりも価値ある一着をお客様にお届けするために。

特にこのWORLD TRAVELER CUSTOMは強撚糸と防シワ加工によってシワの回復力を高め、NANOレベルの撥水加工を施し機能性を高めた、頑張るビジネスマンのために開発された素材です。勿論夏場はパンツ単品向けの素材としても好評を頂いています。

今シーズンはパンツ単品にも便利なウインドウペンやちょっと存在感のあるストライプが雰囲気です。

WORLD TRAVELER CUSTOM   シングルオーダースーツ ¥49,000+税

オーダースラックス  ¥18,000+税

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