どれを選ぶ!?7つのオーダーコート#2
ラスト1週間を切っておりますコートフェア。
金木犀も薫りより一層秋めいて佳境を迎えております。
さて!本日はダブルチェスターを御紹介。
以前も載せたチェスターコートに関しては前立てはシングルで、簡潔にルーツを辿れば当時のファッションリーダー、チェスターフィールド伯爵6世が広めたことからその名を冠し、以後現代に至るまで王道中の王道として普及しております。
それは洒落者、チェスター公らしく「多少は寒くてもオシャレは我慢っしょ」ばりのルックス重視なファッション根性を感じさせるモノ。
もちろん、あったかい生地を選べばしっかり冬も越せるんですけどね。巷には本当にぺらっぺらなモノも少なくないですから…、それだけ防寒着のみならず単なる「アクセサリー感覚のファッションアイテム」としての側面も強いのはこういったルーツもあってのことなのでしょう。
やはり防寒着としての期待に応えてくれるのは、過酷な冬の船の上で仕事をしていた海軍由来のピーコート、または漁師由来のダッフルコートの方が機能美や構築美に関しては分があるかもしれません。
ただ!
何だかんだ言ってお得意先に出向かう際やフォーマルシーンに、「正装」からあまりにかけ離れたコートを片手にぶら下げて参上するのも、いささか男としてのメンツをキープするには心許ない筈。
そういったことから1着は絶対に持っておきたいのがチェスターフィールドコート。
麻布テーラーでも毎年受注数No.1はお察しの通りコレなんです。
しかしながら今年の麻布テーラー店頭トレンドでは面白い変化があり、写真の様なダブルのコート受注量が急増しているんですね。
やはり新しくて面白いものが次から次へと市場から求められ、競争原理で常に右肩上がりの拡大を求められる資本主義社会に於いても必ず頭打ちな時期ってのはあって、それはファッション業界も勿論例外ではなく、そこで見直されているのが各店ブログでも口酸っぱくお伝えしている
#クラシック #英国調
といったスーツやドレスウェア発祥国由来のキーワードなのかもしれません。
「古きを温ねて新しきを知る」サイクルの今、再び注目されているこのダブル。
スタンダードとは言えないまでも時代の激流を掻い潜って生き残り続け、時として華々しく時代の先端に躍り出たかと思いきや、一気に片隅で息を潜めるようになったりもして随所随所に於いて良い意味で「時代を感じさせる」ところが「クラシック」と叫ばれる今のシーンにマッチしているのでしょう。
(「トレンドってことは来年になったら時代遅れってことでしょ?」とよく訊かれますが、何百年と続いて来、今後も何百年と掛けて少しずつ少しずつ様相を変えながらも続いていくクラシックウェア「ドレス」に於いてのトレンドはそんな短期的なものではないので何卒御安心下さいませ!しかも例えば10年後にダブルが今より数量に於いては下火になったとしても、少数派としてのロマン、ダンディズムたるものは必ず生き残り、一定の評価をされ続けます。)
ピーコートやトレンチコートに代表されるように、どことなく戦地由来のミリタリーチックで武骨な雰囲気も然ること乍ら、チェスターコートである以上、コートとしての格式は最上位なわけです。で!前立て、つまり打ち合わせが重なることから当然暖かい。冒頭に述べたオシャレ重視とはなんのそのですよ。
格式高くTPOも問わない。トレンドにもマッチし、防寒性も優れている。これ以上コートに何を求めれば?
打ち合わせが重なると、当然重たくもなりますが言わずと知れた優等生カノニコの洗練されたハイセンスな生地がそれを中和してくれます。
ここ数年再三申し上げている
#ワイドピッチ(幅の広い柄)
#ヘリンボーン(ニシンの骨が由来のギザギザ模様)
#グレイッシュブラウン(灰+茶)
といった鮮度の高いディティールにより、クラシックなダブルコートでもどことなく目新しいという心地よい矛盾は服好きを飽きさせません。
ダブル特有の大きく見えがちな雰囲気が気がかりな方は背ベルトをつけてウエストタックでラインを綺麗に見せてみては?
「冬の顔」ともいえるコート。それだけにこの冬のあなたの印象に大きく作用します。せっかく麻布テーラーで仕立てるなら格式をわきまえたハイセンスな1着にしませんか?
Double Chester Field Coat Order Price ¥60,000+税~
佐藤