銀座sixスタッフが選ぶ快心の1着!
今回は前回触れなかった私なりのこだわりをつらつらと綴ります。
トップ画の通り今シーズン私が選んだジャケット生地は、見本帳で見るとこんな感じです。
Fratteli Tallia Di Delfino #24511 Jacket Order Price ¥76,000+税~
この生地を私なりに注文するとこうなります。
「見本帳の生地は小さいから仕上がりをイメージするのは難しい…。」
とよく言われますが裏を返せば、
「小さい生地なのにピンと来たものは間違いない!」
とも言えます。
「~だから」より「~なのに」の方が感情としては優位で強いのです。
トレンドキーワード #大柄 #ワイドピッチ に負けない太いラペル(10.5cm)が良く合います。
初めて仕立てたダブルスーツの時は何を間違えたのかポケットを斜めにしてしまったので、今回はリベンジで潔く水平に致しました。フロントカットが水平なモノや格子柄(チェック)にはやはり水平が上手く収まる気がします。親父や上司の小言は本当に時差があればあるほど効いてきます。
トレンドキーワード #英国調 らしくチェンジポケットも久しぶりに付けて小洒落させておきました。ここ1~2年は飽きてしまって遠ざけていましたが、やはり改めてこのディティールは好きです。なんて言うんですかねぇ…、カッチリキッチリなドレスウェアに於いて現代に残された数少ない許された無駄?といっては申し訳無いんですけど…そんなところが天邪鬼心をくすぐります。
生地の柔らかさを活かすために袖付けは勿論シャツ袖。マニカカミーチャ、雨降り袖とも言われます。この雨降らしの表現が個人的には大好きです。ちなみこの窓の外は現在大雨です。
ナポリでよく見られたスタイルで、タレ綿と呼ばれるお袖を支える肩先の芯地を省き、可動域を拡げてショルダーラインを非構築的(ナチュラル)に演出する仕様です。
お袖のボタンは1~5個で選択可。¥3,000+税で本切羽(ドクターズカフ、袖ボタンを開閉可能)仕様に出来ます。
本切羽は言うなれば大切なお洋服に穴を開けるんです。そんな取り返しのつかない作業は注文服であればこそです。
オーダー市場が台頭してからは既製服でもちらほら見掛けるようにはなりましたが、既製服でお袖丈がバッチリ合う方の方が少ない筈。
そこで袖丈調整の要望を伝えようもんなら第一ボタンと袖先の距離がいびつになったり、肩先で詰めるのもコストが半端ではなかったりと…。
当銀座six店と懇意な某腕利き職人に言わせれば「アンタら(銀座six店一同のこと)が思ってる程肩先で詰めるってのは単純な問題じゃネんだよ!」とのたまう程、ジャケットに於いての縦寸法(お袖丈、お袖付け、着丈)は仕立て屋にとって負けられない闘いなわけです。
私は5個重ねの本切羽(閂留め¥4,000+税)にて注文。これでもかって程、オシャレ心を剥き出しにしました。
袖ボタンをわざと開けるのがナポリ流の洒脱感です。技術と洒落心をチラつかせましょう。
スーツって結構、話題の宝庫なんです。こんな些細なコダワリ一つでこれからの時期、会食や忘年会で華が開くこともあるかもしれません。
あなたが思ってる以上に、世間には「本切羽」に取り憑かれている方は多いです。
御存知ない方も多いかもしれませんが、襟裏も選べます。スーツの基本ディティールとしては表生地と同色というのがセオリーなのであまりお伺いは立てませんが、興味がある方はお申し付け下さいませ。
トレンドの #モノトーン そして、アクセントカラーの #パープル #紫 の組み合わせは今シーズンの麻布テーラーのプッシュカラーでもあります。
殆どのお客様が気付かれたでしょうが、やはりネクタイにも紫が増えました。
CANEPA ¥6,500+税
勿論、お裏地も襟裏と合わせました。
AK1800#43 キュプラオプション¥2,500+税
注文服にはルックスのみならず着心地も絶対的に求められます。サイズの好みには個人差はあるでしょうが、そのサイズがどうあれ裏地の摩擦度から来る心地良さには個人差は無い筈です。必ず、滑らかな方が好きに決まってます。加えて湿気の吸収力や静電気の抑止力の好悪に於いても言わずもがな個人差など無いでしょう。ジメジメやバチバチをすき好む方がいらっしゃいましたら手を挙げて下さい。話をしましょう。
続いて裏地を海、ジャケット生地を陸と見立てて下さい。
台場仕立て¥3,000+税
私個人的には前述の本切羽よりも先に知った高級仕立服の証です。高級服≒末永く着ることから、擦り切れた裏地を交換し易くするために、最初の仕立て時に手間を掛けておく仕様です。見えないところにも表生地をふんだんに用いているところも豪奢さがあってこちらも私には譲れないディティールです。
この台場。命名の由来として時は幕末。ペリー来航に脅威を感じた幕府は品川沖に、大きな黒船を返り討ちにすべく砲台を第一から第三拠点に設置、つまりお台場(将軍様により命じられた砲台のある場所)を急ピッチで建設。現在の台場公園は第三台場の跡地なわけです。
こういったエピソードを知った上で砂埃にまみれた台場(ベージュのスーツ生地)に青い海(ブルー系裏地)をモチーフにしたスーツを持ってみると愛着がグッと湧くかもしれません。勿論私は持ってます。
そして初めて襟なしダブルベストをオーダーしてみました。
この時も触れましたが、理由は持ってなかったので。一点豪華主義ではありませんが、無機質なモノトーンにラグジュアリーな風合いを加えたかったので金ボタンに致しました。
前立てが重なることから重厚に思われがちですが、襟もなく、ジャケットを着た際はボタンも隠れるので適度にスッキリとした印象でインナーポジションとしての能力はピカイチかと思います。無論保温性も増すので11月にもなりましたし、これからどんどん様々なコーディネートで試してみようかと思います。彼も同じ型紙でオーダーしてましたが、早速色々なコーデで使いまわしてますよ。
スラックスは2アウトプリーツ(無料)のアジャスター付きベルトレス仕様(¥1,000+税)。
ベルトを使いようがないのでむしろコーデが楽です。これも注文服ならではです。
ただここ数年この仕様でそろそろ飽きの気配を感じて来たのでベルトに凝ってみようかなぁ、とも。
オススメコーデはコチラ。
もう、誰にでも思いつく単調なコーデで申し訳ないんですが、それほどまでにこのジャケットを気に入り、愛着が湧いているのでこの柄や素材に対して一切の邪魔を排除したい、という想いからこれをベストコーデと致します。
キレイ目オフカジュアルでこれからの時期はタートルニットとも好相性。
このジャケットの為なら省けるものは省きたいので、この日はバンドカラーの白シャツで。
「トレンドキーワード #大柄 #ワイドピッチ に負けない太いラペル(10.5cm)が良く合います。」
とか言っておいて、首の細い私にはやはりあまりしっくり来なかったなぁ、というのが本音…。
やはり「その人らしさ」に勝るトレンドは無いなと思います。
ただ洋服が好きだと似合わないものを知る、というのも面白さの一つとして逆に気に入ったりするのです。謂わばこれも愛着です。
総括すると、今回の一着は本当に会心の出来と言えます。過去一のお気に入り。
R&BLUES オーダーデニムシャツ¥18,000+税~
前回からの引用ですが無機質なモノトーンに生活感溢れるインディゴで中和すれば、ほどよく愛想も生まれます。
さて!この冬も愛着の湧く一着で元気良く行きましょう!!
佐藤
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