店長研修 中伝毛織編

回の店長研修の続き、滋賀工場は米原から尾州、中伝毛織へ移動です。

まずは、尾州(尾張一宮)の簡単な歴史から。

日本のかつての地方行政区分である国のひとつ尾張国(おわりのくに)は尾州とも呼ばれ、日本神話での尾張国は、ヤマト王権の領土としての様子が綴られています。尾張国の代表的神社である熱田神宮には、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した有名な記紀神話に記されている、三種の神器の一つ、草薙(くさなぎの)剣(つるぎ)(天(あまの)叢(むら)雲(くもの)剣(つるぎ))を祭っていることからも日本国形成には大きな役割を果たした地域とも言えるでしょう。

戦国時代には織田信長と豊臣秀吉といった大物武将を出し織田信長や豊臣秀吉の領土に入り、その他に、柴田勝家、加藤清正など有名な武将が尾張国の出身です。江戸幕府が樹立されると、織田、豊臣の勢力が一掃されて、新たに尾張徳川家が治める尾張藩の領土となり、その城下町たる名古屋は日本で十指に入る都会となりました。

明治維新で中央政権国家が形成されると、名古屋は明治政府による地方支配の拠点都市となり、鉄道敷設などの近代化政策が進められて行きます。その頃から尾州は、濃尾平野の肥沃な土地と木曽川の豊かな水の恩恵を受けながら繊維産業が発展し、現在では日本の毛織物生産の70%以上を占める世界でも有数の繊維産地となっています。

という事でその尾州を代表する中伝毛織様へお邪魔しました。
立派な本社社屋の他には織物工場とニット工場、グループ会社として染色専業と整理専業の関連会社、中国にも合弁会社を持ち原毛から整理までほぼ一環生産が出来る大手毛織物メーカーです。

ここでは、麻布テーラーが展開するオリジナルファブリック、BASICSとWORLD TRAVELERの数品質を共同開発、生産しています。次の秋冬にも新た品質を共同開発しております。



中島幸介社長、自ら毛織物生産の流れや織機についてなどご説明頂き、研修メンバーは緊張しながら聞き入っていました。

中伝毛織様はレディース、メンズ服地双方を大きく両立する尾州では珍しい企業です。そのためあらゆる品質、織組織に対応すべく数種の特殊織機、ニット編機を工場に所有し多くアパレルメーカーから注目と信頼を集めています。



巨大な経糸整経マシンに圧倒されるスタッフ。



アジア初で導入されたドイツのドルニエ社最新のエアージェット織機。本来大量生産によるコストダウンのため製造された従来型エアージェット織機と異なり、品質の良い服地を生産できるコストパフォーマンスが売りだそうです。



こちらは丁度、ベイシックスが織機に乗っていました。麻布テーラーではベストセラーのブルーで直ぐにわかりました。この織機もドイツのドルニエ社製で、耳ネーム付きや、あらゆる組織に対応できる優れものです。



ニット工場へ移動して丸編み機を視察。 限定企画のジャージージャケット地はここで生産されています。ほとんど見ることの無いニット編機に興味津々の店長たち。



今回参加したメンバーと中伝毛織の中島社長、営業担当の大西さんです。中伝毛織の皆様、有意義な時間を作って頂き本当にありがとうございました。

素材の生産から縫製現場まで、商品がお客様の手に渡るまでの物作りの一環を視察し、知識を習得した今回の研修は非常に有意義だったと思います。生地の経糸、緯糸、色柄、縫製現場における一裁ち、一針すべての物語によってお客様の一着が仕上がることを実感した事と思います。今後も引き続きこういった研修を続けて行きたいと思います。

今回、物作りの現場を視察した店長たちの今後の活躍にご期待下さい。

合わせて読みたい記事

ヨーロッパ出張2012.2月

VITALE BARBERIS CANONICO

海外出張英国編